第467話 けじめ

王都に戻り、不在時のときの分の魔法回復薬やスクロールの作成や納品、そのついででの≪高級鑑定≫などを行ったり、新たに追加された使用人たちの衣服等の調達をしたり、忙しかったのも少し落ち着いた頃、デュドニとガエルがローデットに連れられてくる。

「ほら、サラ様にお願いしたら良いわよ」

とローデットに促されてデュドニが話し始める。

「私たち、サラ様のお陰で平穏な生活を取り戻しています。本当にありがとうございます。落ち着いてくると、不義理が気になって来ました。私たちが犯罪奴隷になった経緯はご存知と思いますが、その前、雇われ店長をしていたお店と雇ってくださっていた方にご迷惑をおかけしたままにしてしまっていました。一度きちんと謝りに行かないと、という思いが強くなりいたたまれないのです」

「いつでも行って貰ったら良いのに」

「サラ様、サラ様にご迷惑がかかることを心配しているのですよ」

「特に問題ないんじゃないの?一緒に行こうか?」

「いえ、それには及びません。お許しを頂けるなら、私ローデットが2人を連れて行きます」


早速、その日の午後に3人は雇用主だった人のところに行き、逆に心配されていたと告げられていた。また店舗も別の人を雇ったようで何とか客も入り続けていたようである。

安心して帰って来たデュドニとガエルの夫婦は、行かせてくれたことの感謝を述べる。



ただ、その夕食のとき、屋敷の入口にならず者が10人ほど大挙して押し寄せてくる。

「おらー、デュドニとガエル、出て来いやー」

「居場所はわかったんだぞー」

「さっさと顔を出せねーかー」

等の暴言で、片手剣なども抜身で振り回している。


サラたちは、屋敷の食堂と従業員の食堂で別れて食事をするようになっていたが、それぞれの建物から顔を出す。一緒に食事をとる隣人カーラも含めると、こちらも10人を超える人数であり、しかも半分以上は腕に覚えがあるメンバである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る