第461話 サラ帰郷

伯爵との面会の後は、伯爵の事務方に、辺境の実家に挨拶に帰る旨を伝えて、その後はいつものようにハリーの実家で、師匠エミリーも含めての食事会を行い、新規メンバであるティアーヌを紹介する。


エミリーは水精霊シルビーの伝言でも経緯を知っていたのもあり、サラから離れたところでティアーヌと話をする。

「サラ様の火傷痕がきれいに治って良かったですね」

「サラには母ローラの復讐だけにとらわれて欲しくないので、できればティアーヌにもそう接して頂けないだろうか」

「カーラさんにも伺いました。私も甥や姪のようなアルベールとリリアナの存在ができ、彼らに復讐だけに生きて欲しくないという気持ちを理解できるようになりました」


大人2人の会話の後、エミリーはティアーヌへもツインルーム10個分の≪収納≫の指輪を渡す。翌日には、ティアーヌも含めて、水精霊シルビーの祠に皆で訪問して清掃とお参りをする。


先もあるので領都サイユでは長居せず、続いてサラの父兄たちがいる「龍の爪先」村を目指す。今までの訪問では乗合馬車などを利用していたが、今回はバトルホースによる騎乗での移動であり、ここでも2週間ほどで到着できた。

既に手紙では報告していたが、父兄たちと母ローラの墓に子爵になった旨を報告し、新たな仲間を紹介する。

「ますます妹から襲爵で爵位を受け継ぐなんて嫌だから、絶対に死ぬなよ」

「それよりそろそろ成人だろう。結婚して子供を産んで、俺たちに変な心配をさせるなよ」

と兄2人ダンとジンからは言われるが、父レオンは

「兄のお前たち2人もさっさと嫁を見つけて来いよ・・・」

と呆れられていた。

「王都に来ない?生活に苦労はさせないで済むと思うけど」

と誘っても断られたので、サラは父兄たちに金貨袋を渡そうとするが、

「末っ子が変な心配をするな。それに、ここではそんなものは要らない」

とそちらも断られ、それよりも、と頼みごとをされる。

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