第454話 ティアーヌ事情

この奴隷商人には、性根が良く地頭が良いという2条件に合うものが居た場合には優先して紹介して欲しいとお願いしておく。


家に帰る途中でミケラルド商会に行くが、ティアーヌの魔弓以外は売却済みであるとのことで、その魔弓と、取り急ぎのティアーヌの衣服関係だけ購入しておく。


家についてローデットとティアーヌの部屋を割り当てる。店舗兼住宅の方ではなく、屋敷の方に、である。人数追加を考えるならば、住居の再検討が必要になると思いつつ、今はティアーヌのお風呂である。

おそらく衛兵につかまってからまともに風呂など入っていなかったであろうことと、奴隷用の衣服であったので、風呂に入って着替えてすっきりして貰い、それから色々と事情を聞こうと思ったのである。

家につくと、ミーナとリリアナを呼んでティアーヌの入浴を手伝うようにお願いする。


リリアナが姿を現した途端、買い戻した魔弓を見せても反応が薄いほど無気力であったティアーヌがリリアナに抱きつき泣き出した。人生経験が少ないメンバはどうすれば良いのか分からずそのままにしていると、急に怒りの顔でサラに詰め寄り

「どういうことか説明して貰えるかな?」

と迫ってくる。何のことか分からないまま、アルベールも呼び、その際にもティアーヌの顔がゆがむが自制したようで、アルベールとリリアナが仲間になった経緯を話す。


この2人が赤子のころに捨て子であったのを行商人に育てられたのだが、その行商人は悪徳商人に殺された。自分たちがヴァーヴ伯爵領から王都に向かう途中で出会った奴隷商人が、違法手段で捕まえた2人を連れていた。無理やりな奴隷契約のために下手な解除をすることもできないらしく、そのまま引き取って仲間になった。という概要を、である。


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