第410話 ヴァレミ脳内
私はヴァレミ・グーモンスである。帝国に隣接するロワイヤンの街の代官である。
最近は鳴りを潜めていた帝国が性懲りもなく攻めてきた。最初は良くある小規模な侵略と思ったのであるが、今回は規模が違う。かなり本気なようである。
このロワイヤンの街は恵まれた環境もありそうそう陥落することは無いが、周りの砦や村々はまずい。噂では悪魔教団が生贄にすると言われる、若い女性だけは少なくとも保護して街に避難させないと。数人の騎兵たちを何班か派遣しよう。
何だと、バカ息子め。なぜお前が危険な外に出たのだ。しかも悪魔教団から領民をかばって大怪我をして帰ってくるとは。
この街での魔法使いと呼べるのは≪治癒≫が日に数回しかできない者と、≪火球≫ぐらいを日に数回のみの者がそれぞれ数人いるだけである。それでも国境近くの街であるから、魔の森とは離れているのに、優先してまわして貰っているのである。そんな大怪我を治せる特級の魔法回復薬も無い。
何とか帝国の攻撃をしのいで、伯爵領都から魔法回復薬か魔法使いを送って貰うようにしないと。そのためには何としてもこの戦いには勝つしかない。
先発隊が来たと?ありがたい!だが、回復魔法使いや魔法回復薬は無いか・・・
今度は何だ?こんな小娘が準男爵で、自身の装備のみの数人で増援だと?成人もしていないではないか。ヴァーヴ伯爵の指示書?
「荷馬車30台分の物資を持たせてある。全員魔法使いの非常識な未成年ばかりの部隊だが、戦力になるはずである。しかし、何ができるか俺にも分からん。軍隊の枠にはめずに、自由にさせた方が良いだろう」
ん?まぁ30台は3台の書き間違いだろうか、他も理解できない。本人に聞くか。
投石機の岩?はぁ?まぁ街中の家を崩して投げるよりは良いか。
治癒?1人でもけが人が減ってくれるならそれに越したことは無い。
3台分でも、増えた6人より持ってきた食料の方が多いであろう。それに感謝するしかないか。
うるさい、今度は何だ。けが人が居なくなったとか荷馬車が30台とか。寝ぼけているのか。冗談は明日に聞くよ・・・
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