第411話 初交戦
翌朝の食事は、戦場と言うこともあり自分たちの魔法の袋内の魔物の肉などで適当に済ませようとしていたサラたち。6人ともが代官の呼び出しをうける。
「ドラセム準男爵殿、昨夜の大量の物資、そして息子も含めた治療、誠にありがとうございます」
と、昨夜とはかなり違った低姿勢で逆に恐ろしい。
「ヴァーヴ伯爵からは、ドラセム隊長以下、独立部隊の皆さんには自由に行動して貰うように指示を頂いておりますが、何をしていただけますか?」
「まず今の状況を伺ってもいいでしょうか」
伯爵領都でも聞いていたように、街は持ちこたえているが、周りの砦や村々は陥落して行っているようである。一部の砦は帝国軍に取り囲まれて取り残されているところもあるとのこと。
また、街も持ちこたえてはいるが、ときどき帝国軍が魔法攻撃をしてくるため、城壁や城門の耐久が心配らしい。
まずは現場をみるため、攻められている北門付近の城壁に行ってみる。明るい中で上から見下ろすと、やはりかなり高い城壁である。城壁の背の低い壁面、胸壁(きょうへき)の凸凹の凹部を狭間(はざま)として弓を射ると、それだけでかなり優位であることがわかる。攻城戦は攻め方に数倍の兵力が要るというのも納得である。
今まで戦争関係に縁のなかったサラたちは基本から教わるが、代官は嫌な顔一つしない。
帝国軍も常時攻めてくるわけでなく昼間に何回かだけらしいが、ちょうど敵が攻めて来たので、応戦も経験しておく。
一番魔法の種類が少ないハリーでも使える≪水球≫≪火球≫を投げてみると、城壁の高さもあり一応敵の先頭には届くようである。リリーは≪氷槍≫≪火炎≫を試すと、≪氷槍≫は≪火炎≫より遠くまで届く。続いてリリーは弓を取り出し≪遠射≫と≪必中≫で、前線に来て≪火炎≫を投げてきた敵の魔法使いや指揮官を狙うとしっかり戦闘不能にできた。
その後はサラ、ミーナは召喚した精霊たちを敵陣の奥の上空の方まで飛ばしての上級と中級の魔法を連発、ハリー、アルベール、リリアナは初級や中級の魔法で届く範囲に、リリーは矢の≪帰還≫を使いながら指揮官や魔法使いなど1人1人を丁寧に狙う射撃を繰り返す。
特に悪魔教団の可能性が高い魔法使いは念入りにしとめていく。
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