第408話 ロワイヤン搬入

結局、ロワイヤンの街が遠目に見えるところまでは一週間と少しかかった。やはりいきなり来た極少人数の部隊に貴重な輜重(しちょう)の荷馬車を預けるというのに理解をえる説明をすることと、魔法袋で運ぶべき重量物だけの選別作業にも時間がかかったのが原因である。


先ほど、王国軍の最前線の増援部隊に、途中回収した荷馬車の約30台分を置いて来て、実重量は元々なかったが気持ち的にも身軽になったサラたち6人は、ロワイヤンの街を見る。

街の北側にあたる手前の平原には帝国軍と思われる大軍、街の西側に当たる右手前は森林であり、その奥の方には海原が見える。

大軍は西側と街側それぞれに対応できるようにみえ、馬車などは東側にまとめられているようである。帝国軍の街側と城壁の間では岩が投石機で行きかっているように見える。


当然に手前の森林にも敵は巡回もしくは待機もしているであろうし、街に忍び込むのはやはり海岸線しかないのかと思われる。ただ、街の西側の森から行くのは危険すぎるため、北側を大回りして手薄な東側に回り込む。帝国軍も大人数の軍隊行動までは警戒できても、6人程度を多方面には無理であった。この回り込む際には、ロック鳥ガンや水精霊シルビーたちが敵に見つからないよう高い位置から偵察することが役に立った。

途中で、投石機用の岩なども空いた魔法袋に回収しておく。


夜になりサラだけが南面の外壁を≪浮遊≫でそっとあがり、街内の兵士に連絡を取る。残り5人も連れてくるから敵ではないということを説明してから、順次残りメンバも≪浮遊≫で連れてくる。

戦馬バトルホースたちまで連れて入るのは難しいため、6頭には森で大人しくしておくように指示する。


街に入ったサラたちは、まず街の代官もしくはそれに近い立場の人への案内を頼む。夜にもかかわらず、代官に面会する手続きをされることになった。

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