第397話 レーベルク帝国戦2

魔法先進国と自負のある帝国に対して3戦連続で、簡単に勝ちを得たように見えるため、非難よりも応援の声が多くなっているのであるが、サラはそのことに気付く余力が無い。


副将の雰囲気は明らかに先ほどまでの3人と異なり、所持している魔法発動体の杖もワンドではなくスタッフで身長以上のもので、しかも大きな魔石が組み込まれていて禍々(まがまが)しい空気感がある。

先ほどまでの戦法が通じるとはとても思えない。


「では、はじめ!」

との合図のもと、サラは水精霊シルビーの≪召喚≫、相手との間に≪炎壁≫、そしてほぼ同時の自身への≪結界≫を行った。

そのすぐ後に、相手から何らかの魔法攻撃が来たのを結界が弾いた気配がした。

悪魔ストラデルからは

『≪呪詛≫と≪病≫だな』

と念話がくる。

悪魔魔法の使い手であったようで、その後も≪毒≫≪睡眠≫≪鈍化≫などの攻撃が来るが結界で守られている。

その間に、サラはシルビーに時間差の≪氷槍≫で追い詰めさせつつ≪氷結≫で動きを閉じ込め、勝利宣言を得ることができた。


先ほどまでは見どころが無いと非難していた者たちも、少しは満足したようで、サラへの応援の声がますます強くなっているが、サラの耳には入らない。



帝国の大将は、副将ほどの禍々しい杖を持つわけでは無いが、雰囲気自体がそもそも妖しい。

舞台に上がった時点で、ストラデルが

『奴は悪魔を既に召喚している』

と念話で押してくる。


サラは審判に、開始前に召喚しているようであると告げるも、審判がそれを確認するどころか開始の合図前から、攻撃魔法が放たれた。

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