第395話 被疑者

「私じゃないって言っているでしょ。貴族の私に無礼な扱いは許しませんよ」

と騒いでいるのは、サラのクラスメイト、侯爵令嬢クレマリアの取り巻きであるサンドロテであった。いつもサラをにらんだりして来ていた少女である。

「嘘をつくな。先ほど怪しい素振りで毒物を捨てていたではないか」

「それは・・・」

担任のガリレードが

「どういうことかご説明いただけますか」

と間に入る。


「この者の挙動が不審で様子を見ていると、何かを捨てていました。確認すると何らかの毒物であることが判明した次第です」

「だからそれは単なる下剤で、呪いとかではないですって」

「下剤をなぜコソコソと捨てていたんだ?」

「それは・・・その小娘に恥をかかせるために用意したのにピンピンしていて。なのにあちこちで何か騒ぎになっているみたいだから怖くなって捨てただけよ」


サラは衛兵が持っている毒物と言われるものを≪鑑定≫すると、下剤のようであり、確かに朝にサラが飲み物を飲んだときにお腹が動いた心当たりがあった。

「それは確かに下剤のようですし、実害は無かったので」

とサラが言うと

「憐れみをかけるの?あんたの助けなんか要らないわよ」

とサンドロテは抵抗する。担任であるガリレードも経緯は認識していたので、衛兵に説明し、少なくともこの医務室からはサンドロテを連れて行かせる。


「ということで、真犯人の方の継続捜索お願いします」

と言って、サラはようやく昼食休憩に入るのであった。

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