第385話 フェルール誕生日2

ディアリスとアリアンヌに冒険の状況を聞くと、冒険に行けるのは週末2日のみであり、しかもそれぞれ貴族としての用事もあるため、それほど進んでいないらしい。

冒険者登録をして、王都ダンジョンの探索は開始した程度とのことで、ダンジョンのペンダントを見せられると2人とも2階までであった。


「2階までは角兎で、可愛いながらに魔物と思って攻撃はできたのですが、3階のゴブリンはどうしても恐怖心が出てくるのと、忙しさにかまけてなかなか・・・」

とのことであった。

また、それぞれの実家の従士などが先導はしているのだが、彼らも単に魔物を駆逐することや令嬢たちを護衛することはもちろんできるが、そもそもの目的である魔法の訓練としては、というのである。


いま彼女たちは攻撃魔法として≪水球≫ぐらいしか習得できていないらしく、そこも含めて、サラに指導して欲しいと言ってくるのである。

サラは

「私の新しい仲間たちと一緒でも良いでしょうか」

と、アルベールとリリアナの兄妹たちの育成も兼ねてなら、とディアリスたちの了承を得るのであった。




さっそく翌週の週末に王都ダンジョン入口に待ち合わせることにし、サラはハリー、ミーナ、アルベール、リリアナを連れて行き、ディアリスとアリアンヌに合流する。

いったん1階のダンジョンに入り、スクロールと触媒を使った習熟方法で、育成対象の4人に≪水刃≫≪火球≫という初級ながら便利な攻撃魔法を指導する。

そして、この階層の角兎相手に、習得した2魔法の習熟をさせる。

やはりアルベールとリリアナは習得も習熟も早く、ディアリスとアリアンヌは時間がかかっていた。サラとミーナは手分けしてその2人の指導を行う。


3時間の時間制限まで角兎で練習した後は、3階のゴブリン相手にも練習をする。ハリーが≪挑発≫でゴブリンを集めておいて、4人がそれぞれ攻撃魔法により倒す、サラとミーナがそれを見ながら指導する、という形である。

ダンジョンを抜けた後は、ディアリスとアリアンヌのそれぞれについて来た従士たちに同様の≪挑発≫との組合せ練習方法を伝えて、自立できるようにしておいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る