第375話 アルベール兄妹2

「大人になって何になりたい?」

というサラたちの質問に対して

「皆が銀級冒険者で、何かしらの魔法が使えるなら、俺も魔法が使える冒険者になりたい」

「私たちも何ができるかを試してみたいです」

と2人は言う。

「無理して向いていないことをしなくても、店員のみでも良いのだからね」

とサラは言っても、挑戦してみたいとのこと。


行商を手伝っていたので最低限の体力もあることから、カーヤがショートソードとダガー、リリーが革鎧、それぞれ高級品を作って、広い庭でハリーが簡単な指導を始める。


また、一度に色々は大変であろうということで、杖の発動体を貸与して≪水生成≫魔法のみ、スクロールと触媒を使って習得できるかを試したところ、2人とも最初から親指分ほどの水量を生成でき、本人たちも大喜びで今後の成長が期待できた。

片手剣など武器も扱えるので、魔法発動体は杖ではなく指輪を2人のために購入してくる。薬草採取などのコツも教えつつ、空になった魔石を渡して魔力操作を夜には練習させておく。溜まった魔石は、家にある祠、とりあえずは水精霊シルビーの祠に捧げることにした。


ハリーが簡単に片手剣と短剣の扱いを教えた上で、アルベールとリリアナの兄妹には冒険者登録をしておく。もちろん、最初は木級冒険者である。それからしばらくは、ハリーとミーナが手分けして兄妹の騎乗も練習させながら、王都ダンジョンに通うことにした。1階は角兎が安定して出現するので、実戦訓練である。

少々の怪我ならミーナが≪治癒≫し、少し大きな怪我ならサラ作成の魔法回復薬を使用することで、安心して全力の戦闘訓練ができ、効率良い訓練となった。お陰で、それぞれ武技も片手剣の≪斬撃≫、短剣の≪刺突≫は早々に習得することができた。


その後の成長の方向性として改めて本人たちに相談すると、魔法も広げつつ、武器としてももう少し深めたいという。本人たちの希望でアルベールは盾、リリアナは弓、つまりハリーとリリーという先達者がいるパターンを選ぶのであった。そこで、それぞれスモールシールドとショートボウの高級品を調達してきて、庭で練習、ダンジョンで実戦訓練の対象にこれらも追加することにした。

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