第366話 魔法消滅

自身でももう少しは善戦できると自惚れていたサラは落ち込んで領都に帰ることになった。

ただ、戦馬バトルホースをハリーたちの実家に預けて、師匠の店舗兼住宅に帰って来た時には、新しい魔法の方に切り替えが済んでいた。


エミリーは

「さっきの、サラの魔法を消滅させたのは≪魔法消滅≫。無属性魔法の一つね。魔剣などのように恒久的な付与を消すことはできないけど、暫定的な≪炎付与≫とか、≪氷壁≫、≪結界≫などを消滅させられる魔法よ。でも、その魔法のことの自分も発動できるなど知識が無いとダメ、さらに相手が魔法に消費した魔力以上の魔力が必要だから気をつけてね」

と、魔術語や魔法陣の記された魔導書を出してくる。

「ここに小さな≪結界≫を作っておくから、消滅できるよう練習してね」

とエミリーは立ち去る。


サラは、かなり有効な魔法を習得できるモチベーションに励まされて、繰り返し挑戦し、その夜のうちに習得することができた。


エミリーはサラの習得速度にいつもながらに驚く。

シルビーから聞いている、スクロールや触媒での効率的な習得方法も、後から聞くと理屈として納得感はあるが、自分ではサラへの指導にも思いついていなかった。自身が非効率に習得していた方法をそのまま指導していたと反省するも、サラの習得の速さ、地頭の良さに甘えていたと反省をするエミリーであった。



また、サラが未習得の中級風魔法≪強風≫もこの対面の機会に指導しておく。直接ダメージを与えるというよりふらつかせられるものであり、工夫次第で使い道のある魔法になる。

エミリーは師匠としてサラに教えられる魔法が減って来たことを自覚しており、最近は怠りがちであった自己研鑽、新たな魔法習得に励むことを決意するのであった。

サラがカーラと進めていると聞いている魔道具の魔法陣から未習得魔法を研究するという話も気になっており、弟子には負けていられないと発奮する。

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