第360話 王都出発

隣家のカーラにも留守の旨を伝えて、呪いの魔道具はまとめて解呪をしつつ、彼女にとっては友人であるエミリーへの手紙を預かる。


1人で留守番するカーヤは馬を使う予定も無いので、馬車の車体だけおいて置き、戦馬バトルホースは5頭とも連れて行くことにする。騎乗するのは4頭だけであるが、交代用としても、遠征の訓練のためにも、である。


皆と別れの挨拶をして、王都を出発し、魔の森の外縁に沿った感じで東へ東へヴァーヴ伯爵領に向かう。

過去には馬車でしか移動したことが無かったので、戦馬バトルホースでの速さは想像以上であった。馬車の場合には車輪などの性能面もあるのであまり速度を出すと壊れやすいというのと、通常の馬車で使用する馬と戦馬との基本性能の違いもある。


結果、目当ての火山に近いゲレの街には、馬車の場合の半分ほどの日程で到着することができた。途中では久しぶりの野営も行うが、野盗等の問題は特に発生しなかった。

冒険者ギルドに寄って、魔物氾濫(スタンピード)の後を確認するも、オークが増えたなどの再発は起きていないようであった。


一安心したまま、食料などを買い込んで火山に向かう。進むのは森ではあるが、魔物でもある戦馬の訓練と考えて、そのまま5頭を連れて行く。騎乗できるところでは騎乗し、難しいところでは降りることにしたが、自分たちの騎乗の訓練でもあると考えて、ほとんどは騎乗することにした。以前と同様、3日ほどで火山に到着する。

Cランク魔物であるロック鳥のガンによる上空からの偵察と、同じくCランク魔物の戦馬バトルホースも連れたパーティーでもあるため、途中で遭遇する魔物も少なく、また遭遇しても牙虎などでありまったく問題なく処理して進むことができた。どちらかというと食事のお肉が増える結果になっただけであった。従魔が増えたのでお肉が確保できるのはありがたい話であった。


前回にあった、火山のふもとのオーク村も全く形跡はなく単なる広場であった。

火山の斜面を行くのではなく、ダンジョンの中も通るつもりであるが、さすがに戦馬バトルホースや前回よりは大きくなったロック鳥を連れて行くのは難しいと思われたので、1羽と5頭の従魔たちには、人間には危害を加えない範囲で魔物を狩ったりして待つように指示する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る