第361話 火山ダンジョン

前回イレギュラーであった2つのダンジョンがつながった状態は、ゲレの街の冒険者ギルドに聞いてもそのままであるとのことであった。


まずはふもとのダンジョンから中腹のダンジョンにそれぞれ進むも、出てくるのはオークまででありハイオークは出現しないで最後までたどり着いた。ダンジョンコアも宝箱も、どちらのダンジョンにも存在しなかったので、誰かが攻略した後だったのかもしれない。


最奥の出口から火山の火口らしき場所へ出ると、前回の休火山かと思えた煙も出ていなかったときとは違い、火口には赤くマグマがのぞいており、かなりな熱気を感じるまでになっていた。

前回のダンジョン攻略後に伯爵家の調査隊が「煙が出ていた」との報告を踏まえると、魔物氾濫(スタンピード)になった関係で火山のエネルギーも奪われていたのか抑えつけされていたと考えればよいのであろうか。


その熱気を感じる火口で、以前にあった祠のもとに行ってみると、火山灰のようなものでまた汚れていた。まずは汚れを落とした上で、無事の到着のお礼を祈ったあと、水精霊シルビーを≪召喚≫する。

「あら、今度は棲(す)んでいるみたいね。出ていらっしゃいよ」

とシルビーが声をかけると、祠の近くに炎で人型の火精霊が現れる。

「呼んだか、水精霊よ。前と合わせて、祠を綺麗にする殊勝な心掛けは褒めてやる」

「私の契約者が、あなたとも契約したいんだって」

「はい、サラと言います。魔石などの奉納もきちんとさせて頂きますので、契約をお願いします」

「ふーん、確かにしっかりとした魔力も感じる。今どの程度の魔法が使えるのか見せてみろ」


サラは言われるまま火口に向かって、火魔法で習得済みの上級魔法≪火槍≫を3つ、同時発動してみせる。


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