第357話 無属性魔法

サラは、誕生日に師匠エミリーに言われた、図書館で無属性魔法の本を、というアドバイスに従い、魔術学校の図書館に籠っている。


基本6属性魔法以外が無属性魔法のエリアに並んでいるため、契約魔法や鑑定魔法など確かに興味深いものが多いが、師匠の意図とは違うのであろうと、背表紙を見て行くだけでなく、1冊1冊手に取り、表紙をめくって確認していく。


無属性魔法エリアの3割ほどの魔導書を確認したあたりで、非常に興味深いものを発見する。≪衝撃波≫と≪魔力矢≫という攻撃魔法であった。

これらは魔力を属性変換する必要がなく無属性のまま発動するので効果が速いが、威力はあまり期待できそうになかった。ダンジョン攻略など魔物相手が中心のときには気にしなかったであろうが、今は違う。学校対抗戦などで人を相手にするときには都合が良い、攻撃力がそれ程なくても発動が速い魔法と思えたのである。


さっそくこの魔導書を貸し出しして習得を行いつつ、水精霊シルビーへの伝言で師匠に確認をする。

「学校対抗戦で、わざわざ強力すぎる攻撃魔法を使う必要はあまり無いであろうから。レーベルク帝国は熟練者の代表が居ても、アルテーラ王国の代表者はそれほどでないだろうから、アルテーラ相手の場合には特に有用だろう」

というエミリーからの返事であった。


先日のスラム街のときのように、大した戦闘力が無い破落戸(ごろつき)のような人間相手のときにも有用と考え、取り急ぎリリーとミーナにも指導して習得して貰った。



歴史ある学校の図書館であり、今回のようにまだまだ有用な魔導書が潜んでいると感じたサラは、今後も暇があればめぼしいものを探しに来ることを決めたのであった。

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