第347話 仲間成長

リリーは魔術学校で基礎を進める以外に、Bランク魔物のオルトロスや雪男の毛皮により高級品の製作が容易となり、皮革製品への習熟を進めている。


また、ハリーはミーナの育成も兼ねて、従魔たちと一緒にダンジョン攻略を続けている。ダンジョンへの往復は乗合馬車に乗ることなく、戦馬バトルホース2頭で移動するため、2人とも騎乗がかなり上達した。

ハリーは王級の武技習得に悩んでいるが、途中段階と割り切って片手剣の上級武技≪受流≫を習得した。採掘も継続しておりそちらの習熟も進んでいる。


ミーナは羊皮紙、スクロール製作も行いながら、ダンジョン攻略で魔法習熟や採掘の習熟を進めている。仲間になって半年での成長度合いが他のメンバの誰よりも早いことを皆から褒められ、スクロール販売という実感できる成果もあり、自信が生まれて好循環になっている。

ただ、自分だけ鉄級冒険者のままであることはときどき気にしているようである。戦闘能力的には他メンバと同じように銀級レベルにあるとの自信からであろう。

一番長く一緒にいるハリーは余計に気にしているが、旅もしていないので盗賊等と出くわす機会も無いのと、王都は治安が良いので盗賊関係の討伐依頼も冒険者ギルドにはなかなか無いので、様子見としていた。


一方、カーヤは伸び悩んでいた。

少しの差ではあるが、一番年上である本人は鍛冶職人で皆の先頭を引っ張っていきたいのであるが、現状では全製品を高級品にできるまでの習熟には至っていない。まだ14歳で高級品が作れること自体を誇って良いのだが、仲間が異常だからである。

鍛冶の上達のためには数をこなすしかないと、店番をしながら鍛冶に励む。幸い、ハリーとミーナが採掘してくれる鉱石のお陰で、練習材料が不足することはない。

また、最近≪筋力向上≫の魔法を覚えたことから、同様効果の魔道具の籠手だけのときよりも楽になっている。改めて魔法の効果を認識したので、火属性魔法を深めることで鍛冶の高度化を考えるようになった。現状は≪種火≫だけであるが、鍛冶に使えるだけの火力を得られるまで習熟していけないか、今度サラに相談しようと思うのであった。

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