第331話 契約魔法基礎

「続いても無属性魔法の一つの授業を行います。契約魔法の基礎です」

とガリレード先生が講義を再開する。


商売などでも行う契約に対して、魔法としての効果を与えるものである。

決められた約束を守らないと、罰則を強制されることになる。

魔法陣を記載した羊皮紙に契約文言を記載した上で、署名を行うと共に血を垂らすのが一般的である。


契約魔法の一つに、商業者ギルドの手形がある。高額な取引などにおいて現金の持ち歩きが不安なときなどに、現金のかわりに用いるものであり、記載された金額を商業者ギルドで換金して受け取る際に、血を垂らして受取人であることを示す必要があるものである。


奴隷契約の契約魔法も特殊であり、奴隷商人という国家が限定した使用者のみ使用できる。魔石に魔法陣を刻んだものを胸に埋め込むが、死亡したり取り出したりしたときには魔法陣が消える仕組みで、技術流出を回避している。


従魔契約も契約魔法の一つであり、主人と魔物の間で逆らえないように強制する魔法である。従魔の証を扱える従魔屋や一部の魔物使いテイマーが使う特殊な契約魔法になる。



「初級≪簡易契約≫では、守らなくても気持ち的に体調不良になる程度の拘束力になります。誰か試したい人はいますか?」

という先生に対して、契約魔法を早く習得したいサラは立候補する。

「ではサラさん、まず契約をしましょう。私が立つか座るか1回だけ指示するのに従わないと罰則があることにしましょう」

魔法陣の書かれた羊皮紙に契約条項を記載し、互いに署名した上で血を垂らす。

≪簡易契約≫

で先生が仕上げをする。

「では立っている状態で、私が座るように指示しますが、立ったままでいると体調不良になります。始めます」

サラは先生が「座るように」と言われても立ったままでいると、眩暈(めまい)がしてくる。立つのがしんどくなり座ると眩暈は無くなった。


≪簡易契約≫の魔導書が配布され、この日も終了となった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る