第303話 招待状
12月になり新年までもう少しになったところで、寄親であるヴァーヴ伯爵家から、使いが来たので、店舗の奥の応接室で対応する。
「騎士爵サラ・ドラセム様、伯爵マクシアン・ド・ヴァーヴ様からの新年の集いのご案内になります」
丁寧に渡された書状にはヴァーヴ伯爵家の紋章の封蝋もされている。1月1日午後に、王都の伯爵家屋敷へ集まるように、というものであった。
使いの者もさすがに良く分かっており、背景を説明してくれる。
新年1月1日午前に王城で、伯爵以上は王家に新年挨拶することになっている。ただ、領地から全貴族が離れることはできないため、2グループに分けて片方のグループだけが王都に来る。ヴァーヴ伯爵は今回が王都に来る年。王都やその近くに居る寄子は、1月1日午後に伯爵に年始の挨拶をする習わし、とのことである。
ついでに招待への返書の書き方も教えて貰い、自分の紋章で封蝋して返しておく。当然、お伺いします、という内容である。
サラたちは慌てて隣のカーラのところに行き、色々と相談する。
「いよいよ貴族らしいことに。何すればいいんだ?」
「まずサラは、先日仕立てたドレスを着るよね」
「そんなのに1人では行けないから、ドワーフの私ではなく、ハリーとリリーが一緒に、かな。となると、ハリーとリリーもそれなりの服装で。護衛の意味もあるから軽い武装はしても良いだろうけど」
「馬車もそれなりに上等な物が必要ではないでしょうか。御者付きで借りてくる必要がありますね」
「持参して献上する物を忘れてはダメよ。これが高過ぎず安過ぎずで難しそうだけど、カーヤの高級武器なら良いと思うわよ」
当然予約も混んでいるところを無理にお願いして、馬車の手配も行う。
さらに、ハリーとリリーもお付きらしく華美ではないがみすぼらしくない適度なものを、と仕立屋ではないが古着屋でも上等生地のものを選んで寸法直しをする。
カーヤも鍛冶で高級品の長剣を製作し、鞘や柄などある程度の飾りつけも行って準備をする。
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