第289話 再開店結果

再開店してしばらくし、リリーの皮革とカーヤの鍛冶が中級になった頃、ミーナも鉄級冒険者にそろそろ挑戦することも良いぐらいになってきた。


店舗の方も少しではあるが売り上げが出てきた。販売だけでなく手入れの注文が多いのだが。店番についたリリーとカーヤがお客様と会話するなかでわかったのは、銅級の手前から銅級に留まり続けている冒険者にとって、この店はちょうど良いらしい。

通常の武具屋は何人かの職人から仕入れて販売しているか、鍛冶屋が直接販売しているかのどちらかであり、日々の手入れに関しては後者の方が、融通が利く。鎧も、騎士ではなく冒険者の場合には、金属鎧では重量もあり音が出ることもあり革鎧が多いのだが、同じく職人と直接の方が、手入れに関して融通が利く。

冒険者としては一番多い金属製武器と革鎧の手入れができ、消耗品の魔法回復薬も手に入るため、定期的に通いたい店になる。お守り代わりに持っておきたいスクロールの販売があるのも良い。武具や鎧の買い直しは中々できないが、手入れはそれなりの頻度で依頼したい、ということである。

武具や鎧という大きな売り上げはあまりないが、手入れで固定客が付けば買い直しの際にはこの店を選んで貰える期待が高まる。


ただ、苦言もあった。1つ上の、というのであれば、中級上位から高級品の武具と鎧ももっと欲しいという物であった。リリーとカーヤは、技能は中級になったばかりではあるが、さらなる精進に発奮する。

取り急ぎでは、ランクの高い魔物の皮革を使用したり、ワチエダンジョンで入手したような高品質なインゴットを使用したり、が早道であり、職人技能訓練と共に探索再開も考える2人であった。



王都の近くのインゴットで思いつくのは、坑道ダンジョンである。鉄鉱石も入手できるだけでなく、奥には高級な大鍛冶装置があったからである。

また自分たちの実力で倒せるBランク魔物を狩って皮革製品にもしたい。


王都ダンジョンはまだ表層ぐらいしか行けないため、確実に入手可能な遠征を、魔術学校への入学前に希望する旨を、リリーとカーヤはサラとハリーたちに相談する。

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