第286話 焦燥2

そうこうしているとハリーの13歳の誕生日が来る。ハリーの誕生日なのでハリーが料理するのではなく、皆で美味しいものを食べに行こうとなった。

高級料理店に事前に予約をしておいて、カーラを含めて6人で行く。こういうお店では従魔にも食事を出してくれるので、ロック鳥のガンにも上等なお肉の提供があった。


皆で楽しんで帰って来たが、ハリーは1人部屋に戻ったときに、気持ちが落ち込む。日頃もときどきは考えていたが、13歳の区切りで改めて考える。

ハリーは他メンバに比べて特色が少なく、副業として販売できる物が無いのである。サラは魔法回復薬だけでなく最近はスクロールの販売の目途ができて、リリーは皮革製品、カーヤは鍛冶で、皆は高級品や中級品の商品が製作できる。新たな仲間のミーナも、スクロールという希少品が作れるようになりそうである。

ハリーは料理ができるが、商品は初級品の弁当ぐらいであり、副業的な物は料理も採掘も鍛冶も一人前ではない。従魔も1羽を卵から孵しただけで魔物使いの勉強も出来ていない。


以前にも大きく悩んだときには戦闘能力を上げることに注力したが、今は伸び悩んでいるところである。

金級冒険者になるには王級技術が必要となってくるが、上級に比べてあまりに難易度が高く、また簡単には教えて貰えない奥義になる。というより教えられる者が世にほとんどいないので、王級技術は過去の書物から自身でどういうものかを推測して再現したり、自身で一から開発したりする必要がある。

Bランク魔物やAランク魔物などとの戦闘を通じて自分でつかんで行くのが実質の最短経路であるかもしれない。



皆と重複しないで貢献しやすく、頭を使わないで、器用さを求められないものを改めて考えてみる。

木工はかさばるのと需要が低い、薬瓶にもなるガラス工、彫金細工、裁縫などは器用さが必要、料理は伸ばしても飲食店を運営する場所も人でも難しい、奥地にも行けるので珍しい生物を入手は出来ても育て方を研究することも難しい。

カーヤと重複はするが採掘レベルを上げて大鍛冶に注力するか、騎馬を含めて従魔の勉強を始めてみるか、が現段階で思いつける選択肢かと考える。

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