第285話 スクロール作成
それからの3週間は、またリリーとカーヤは商業者ギルドで講習を受け、皮革や鍛冶の先輩商店での実運営などを学びに行く。
サラとハリーはミーナを連れて少し森に入り、薬草採取を教えながら、角兎以外の魔物に対しても≪火球≫の実戦訓練も含めてミーナの訓練を繰り返す。
夜に帰ってきた後は、サラはミーナが1人で戦闘になったときのためにスクロールの作成を考える。
砕いた魔石を混ぜたインクで魔術語や魔法陣を羊皮紙に書くことで魔導書やスクロールになるのだが、スクロールとは未習得の魔法でも魔力を込めれば発動できる使い捨て魔道具の一つである。
カーラに作成方法の注意点を聞くと、その魔法を習得済みの者が作成しないと正確な魔法陣でない可能性があり低品質になりやすいらしい。また中級以上の魔法をスクロールに定着させるには付与魔法の知識が必要とのこと。
カーラの店舗では消耗品である魔法回復薬やスクロールは扱っていないので、隣の店舗でサラたちが販売するのは相乗効果があるかもね、とのことであった。
初級魔法のうち、ミーナの役にも立ち、販売でも需要がありそうなのは≪治癒≫≪火球≫≪風刃≫≪水刃≫と当たりをつける。
数を確保するため羊皮紙の製作をリリーに発注する。羊皮紙は、山羊だけでなく多様な動物の皮を使用しており、リリーの得意分野である。
もちろん消耗品になるインクや羽根ペンも仕入れておく。
サラは≪治癒≫≪風刃≫≪水刃≫スクロールをいくつか作成し、ミーナには訓練の中で使わせてみて使い勝手を見る。戦闘で使用する物であり、巻いたスクロールをすぐに片手でも開けられるように、封の工夫と薄い羊皮紙が必要と認識する。
ある程度≪火球≫を使えるようになったミーナにもスクロールを作成させて、サラが作成したものと使い比べてみるが、魔術語で記述する魔力量を同じにすると効果も同じであることが確認できた。
これからミーナがリリーに羊皮紙の作成方法も学べば、その作成した羊皮紙をスクロールにすることでミーナにも販売商品が作れるようになる。
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