第284話 ミーナ留守番報告

王都に帰った後は早々に家までたどり着き、ミーナに駆け寄り抱き着くリリーたち。一人留守番させてごめんね、と。


ミーナはびっくりして戸惑う。確かにこの家に来てから半月ほどは毎日ドタバタしていたのに、この10日ほどは1人で静かになったので、ギャップで最初は寂しさも覚えていた。しかし、スラム街での母が亡くなってからの1人と違い、することもあり生活も確保されて安全でありしばらくすれば皆が帰ってくることも分かっているので、我慢できる寂しさであった。

それに、もともと犯罪奴隷である自分が何を高望みしているとも思っていた。


にもかかわらず、帰って来たリリーたちの対応を受けると、嬉しく思ってしまう。が、ちゃんと報告しないとと自分を律して、

「店舗での販売は、あまりありませんでした。安定して売れたのは魔法回復薬で、武具と皮革は小物が少しだけでした。来客も冒険者と一般の方が半々ぐらいでした」

「訓練の宿題は、実戦ほどは進みませんでしたが、店番中でもできる魔力操作は少し上達したと思います。生活費の残りはこちらになります」

「って、硬いよー。それに生活費は全然使っていないじゃない」

「いえ、預かったお金が多かっただけです」

「じゃあ、今日の昼はその残ったお金で良い物を食べに行こう」

と店舗も戸締りをして「昼休憩」と貼り、ミーナのフォローへの御礼も兼ねてカーラも誘って高級食堂に6人で食べに行く。


ミーナに聞くと、カーラがすぐに様子を見に来てくれて、店舗入口の柱の一つに、「何かあれば隣店舗のカーラまで」という張り紙をしてくれた、とのこと。

当然カーラも女一人で長く店舗をしているということは、色々と実力行使したこともあったであろうし、チンピラたちもそれを分かっていてのお守りになったのか、10日間、変な因縁をつけて来られるトラブルは無かったらしい。改めてカーラにお礼をいうサラたち。

ちなみにダンジョンで見つけた魔道具は、保温効果のある急須でありカーラが買い取った。


食事の後は、サラはミーナを連れて細工師のところに行き、魔法発動体にする指輪を選ばせるが、色々な作業もするときに邪魔にならないようにシンプルな物が良いという。その指輪をカーラにお願いして発動体の付与をして貰う。これで短剣を握ったまま魔法を発動できるようになる。

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