第282話 仮開店

開店当日、朝から店を開けたのであるが、店に来てくれたのは、隣人カーラと商店街を通った一般買い物客がのぞき見をしたぐらいで、冒険者らしい格好の来店者はほぼいない。


夕方になり、商業者ギルドの店舗経営講習をしてくれた講師が様子を見に来たが、それまでもほぼ似た状況であった。

講師からは、お客様から認知される、認知して足を運ぶ、店頭で目を引く、購入に踏み切る、それぞれに対して特徴が無いと酷評される。事前案内も店頭レイアウトも目玉商品も価格メリットも、と。

価格は王都の他店舗と同等額にして、価格競争にならないように気を付けたつもりではあったが、余計に特色が出ていない。また何屋なのか、雑貨屋にしては種類が少ない、魔法回復薬は高級品、武具や皮革は初級~中級品、弁当は初級品であり、客層ターゲットがバラバラである。

案内チラシも同様で、何を目当てに足を運ぶのか不明瞭である。

この商店街は冒険者向けだけでなく一般住民向けも混ざっている場所であり、冒険者ギルドの真横などでも無いので、足を運んでもらう何かが必要である、等々。



結果、1日開店して売れたのは、各々が1~2商品ほどであり、特に武具や皮革は小物だけであった。


夕食は残った弁当を皆で黙々と食べるだけになったが、途中でリリーが空元気に

「失敗だったね。仕方ない。もっと勉強して、いいお店にしよう」

と宣言し、皆も割り切ることにした。幸い、講師からは色々とアドバイスも貰ったことであるし、1つ1つ課題を解決する方法を考えることにする。


まずは皆でお店のコンセプト、どういうお店にするか、どういう客層をターゲットにどういう商品を売るのかをもう一度考えてみることにした。




ミーナは、年齢の割に何でも出来るように見えていたサラたち4人の大失敗を見て、少し安心するのであった。

お母さん、私は皆さんと頑張ります、と眠りにつくのであった。

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