第269話 王都スラム街

サラは入手した呪いの短剣の≪解呪≫が出来ていないため、≪呪詛≫≪解呪≫関係の魔導書も無いかと探していた。

一通りの魔道具屋をまわった後にカーラに聞くと、悪魔魔法はどうしても後ろめたい用途にもなるので、スラム街の店舗しか基本的には扱わないと言われる。


どの街にもスラム街のような場所はどうしてもできるのであるが、王都のスラム街は規模が違う。王都の南西部のかなりな面積をスラム街が占めている。


農村部などから夢をみて都会に出てきたが働き口を見つけられなかった、冒険者だったが大怪我などで引退を余儀なくされた、まとまった老後の資金を貯められずに老化して働けなくなった、罪を犯して表通りを生きていけなくなった等々、スラム街に来る理由はまちまちであるが、都市の規模に応じて大きくなりがちである。

どうしても治安が悪くなりやすく、盗賊などの隠れ家も多い。このスラム街で生まれた子供は抜け出すことが難しく、結局は盗み等で生きていく盗賊予備軍になりかねない。


神殿が共同で炊き出しをしたり、神殿が共同運営する孤児院に引き取り育てたりするも、それにより救われる数は限られている。

生産活動をしている職人などのところから廃材を貰ってきて、それを再利用することもスラム街の子供たちの仕事であり、カーヤたちが鍛冶をする中で出る屑鉄などを欲しいと訪ねてくることがある。もともと鍛冶屋の店舗であったから、以前にも分け与えていたと思われる。



サラたちは話として認識はしていても王都のスラム街に行ったこともなく、規模も認識していなかったので、カーラの話に戸惑う。

「魔道具屋などに興味があっても、決して自分たちだけでスラム街に入らないこと」

とカーラに念押しされる。特にサラが一番危ないと念押しされる。

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