第266話 鍛冶用設備
坑道ダンジョンの最奥の採掘村では、ダンジョンコアもなく宝箱も無かったので、冒険者ギルドに地図を販売しなかった先輩冒険者が踏破していたのだと思われるので、それ以上は諦めて引き返すことにした。
復路でもいくらかの採掘とハイオークの殲滅などをしながら、ダンジョンを後にする。そしてまた3日ほどかけて王都ワーズの家に帰る。
大家の代理人でもある隣人カーラに、鍛冶用設備の更改を相談すると、
「良い物に変わるんだし変えても良いでしょ、説明しておくよ」
との言葉も貰い、早速交換してしまう。家に設置している鍛冶の神ウルカヌスの祠にもその旨をお祈りしておく。
今までの小鍛冶用設備は、商業者ギルドの鍛冶委員会に大鍛冶用設備を借りに行ったついでに相談すると、鍛冶委員会の貸し出し用設備にすると買い取ってくれた。
更新したのは小鍛冶用設備ではあるがしっかりした火力も出せるので、これからは敵から回収した金属武具は安値で売却するよりも、カーラとハリーの鍛冶訓練用にしたり、少しだけ良い物は店舗で初心者用にしたりすることにした。
「いっそのこと、あの大鍛冶用の大きな炉も持って帰って来たかったなぁ」
「勿体ないよね。もっと近くにあると良いのに」
というハリーとカーヤ。
「どんな大きな家が必要なのよ」
とリリーが突っ込むが、
「私も薬草畑は大きい場所が欲しい」
とサラも言う。
「薬草畑は、もっと稼げるようになったとき王都南部の農耕地域に畑を買うのかな。王都の中ではそんな広いのは富裕街だけど、現実的でないし。大きな炉を使うのも、王都みたいな大都会の街中ではダメよね。ギルドみたいに広大な敷地があるのなら別だけど。ワチエの街でもカーヤの実家が端の方にあったみたいに」
と現実的なリリーに対して
「分かっているよ。この家でも十分贅沢だよね」
と返すハリー。
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