第247話 カーラ

ゴーチャンからは、ダンジョンコア2つを返してもらい、王冠については借用だったのに王家への献上になったことへの補償として金貨20枚を貰う。氾濫の被害を受けかけたゲレの領主からの褒美の意味も含まれていると思われた。


師匠エミリーの紹介であったカーラの店舗には、紋章等を届けて待ちの間に訪れる。結構繁盛しているようで、冒険者ギルドで聞くとすぐにわかった。カーラからは、

「ローラの娘?髪色など良く似ている。王都で暮らすならいつでも遊びにおいで」

と言って貰えるが、しばらくは無理と謝る。魔術学校には通う予定なので、と再会を約束して別れる。


サラはもともと王都、さらには王都ダンジョンに行く予定であったが、成り行きで寄親になったヴァーヴ伯爵に挨拶に行くことになったのである。ゴーチャンが伯爵領都に帰るのに合わせて、である。

「皆は王都に居て、私と一緒に帰らなくても良いのに」

「いや、対外的には私たちはサラの従者だからね」

とリリーがからかうとサラが辛そうな顔をするのを見て

「ごめんね、冗談だよ。仲間だから何ヶ月も離れたくないだけよ。一緒に居させてよ」

とリリー以外も同意する。サラはありがとうね、と少し涙ぐむ。


ハリーとリリーは両親へのお土産として、王都でしか買えない食材を買い、サラの時間停止の収納にしまって貰う。カーヤは先日に軽くしか見られなかった武器屋や鍛冶屋を丁寧に見てまわる。サラは、執事の紹介で了承された紋章を刻んだ指輪を特注で作成したものを受け取りつつ、王都の知識・魔法の女神ミネルバの神殿に行き、天使マルカルロへと合わせて叙爵のお礼をしておく。


それらの王都でのとりあえずの用事を皆が済ませた後は、執事たちにもお礼を言ってから、ゴーチャンと伯爵家の馬車に乗り、ヴァーヴ伯爵領都へ帰ることにする。

往路と同じく、ゴーチャン、サラたち4人、従者・荷物の3台の馬車と、騎士見習いなどの騎馬である。当然サラが叙爵されたのを皆が知っていて、サラに対してだけ扱いが変わるが、ハリーたちと同じにしてとお願いするとぎこちなくではあるが、それっぽくはなった。

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