第246話 家名
サラはしばらく叙爵された実感が無かったが、この宿題を考えると色々と実感が湧いてきた。
「何で私が叙爵なのよ?リーダーのハリーで良かったじゃない。男なんだし」
「いや、一番活躍したのは?と言われるとサラだろう」
「そうね、いつも一番活躍しているのはサラだから」
「活躍、貢献はサラが一番」
というやり取りはするものの、国王が決めたことをいまさら変えることももちろんあり得ない。
寄親と言われても伯爵以上で想像がつくのは地元の伯爵と、ワチエダンジョンで出会った伯爵令嬢フェルールの家しかないが、後者は家名も知らない。前者も地元だからヴァーヴ家と知っているだけである。
ゴーチャンの言う通り、ヴァーヴ伯爵家にさせて貰うしかない。
後は伯爵の屋敷に戻ってから相談しようと、また王城なので無口になりとぼとぼと退城する。
伯爵の屋敷に戻り、執事にゴーチャンが経緯を説明すると、さすが伯爵家の執事、基本的なことを教えてくれる。
「ヴァーヴ家の寄子となる騎士爵様のため、精一杯ご協力させて頂きます」
「家名は領地や出身地に由来することが一番多いですが、サラ様のお生まれは「龍の爪先」村とのことでしたら、龍draco と爪先pollicemからドラセムはいかがでしょうか。サラ・ドラセム様です」
「また紋章は、思い入れの強いものが魔法と短剣とのことでしたら、紋章学に詳しいものにいくつか案を作成させます。ただ、これからは正式な手紙などの封印はこの紋章の指輪を使うなど、家名と同様に色々なところで使用するので熟慮をお願いします」
など、先日より扱いが変わった?と思うぐらいである。
すぐに連れてきてくれた紋章学に詳しい人のデザインで、魔法6属性の意匠を幾何学的模様と組み合わせた魔法陣のようなものと短剣の組合せを紋章に決めた。
寄親、家名、紋章について早々に王城に届けたら、珍しいものだったのか翌日にはヴァーヴ伯爵家の屋敷に、了承の通知が来た。
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