第240話 伯爵指示

騎士爵からの指示に従い、あてがわれた少し高めの宿で待機、実質軟禁のような4人。護衛依頼だった商隊には、最初に状況報告はしているので不義理ではないはずだが、街中に出かけるにも護衛の名目の見張りが付く状態で、のんびりもできない。

サラは早々に諦めて、先日の敵の遠隔攻撃を踏まえ空間魔法中級の≪結界≫の必要性を感じて、宿の部屋内で練習を開始した。もちろん大量消費した魔力回復薬の調合もするために薬草や薬瓶も買い込んできた。リリーも毛皮細工を行っている。

一番暇しやすいのはハリーとカーヤであり、カーヤの視野を広げる意味もあり、護衛は関係なしに武器屋を見てまわり、鍛冶屋も覗いてまわる。さらには商業者ギルドの伝手で鍛冶屋の一角を借りて鍛冶の訓練をして過ごした。


一週間、属性ごとの曜日である火・風・水・土・光・闇の6日では調査隊ももちろん帰って来ず、10日ほどかかった。サラたち4人も往復の移動だけで6日間かかったので、集団行動ではそれぐらいもやむを得ない。


調査隊の報告はギルド長、代官、騎士爵と一緒に聞くことになった。調査隊はダンジョンへの往復でオークと何度か遭遇するが最近の多さに比べると数が減ってきていたという。また空のダンジョンが2つ繋がっていたことを報告された。さらにダンジョンの出口が煙の出る火口であったという表現には少しひっかかりを感じたが。


また、伯爵へのお伺いの飛脚の返事も帰ってきており、もし調査隊が氾濫(スタンピード)の解決を報告したならば、騎士爵がサラたち4人を連れて、王冠とハイオークキングの魔石と同封の書状を持って王都に連れて行くように指示であった。

サラたち4人はもともと王都に行く予定ではあったが、商隊護衛の途中の旨を告げて商隊に相談すると、商隊メンバも貴族に逆らうことは考えられず、円満な護衛依頼の途中終了となり、冒険者ギルドに完了届を行うことになった。


後は伯爵指示の通り、代官が用意した貴族の馬車で王都に向かう以外に選択肢はなくなった。

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