第239話 急使対応
魔道具屋から戻り、冒険者ギルドの応接室で待っている4人。
そこにギルド長に連れられて身なりの良い偉そうな2人が部屋に入ってくる。
1人はゲレの街を任されている代官、もう1人は領都から来た急使であり討伐軍の司令になるはずであった伯爵騎士団の騎士爵とのことである。
ワチエでも伯爵令嬢や騎士爵と行動していたが、冒険者の立場を前面に出されて家名は名乗らない付き合いであったが、今回は完全に貴族と平民の対面になるので面倒なことに、と思う4人であった。ワチエでもそうであったように、リーダーとしてハリーが対応することは事前相談済みである。
まず急使が名乗る。
「私の名前はゴーチャン・ルメジョン。この伯爵騎士団の騎士爵である。今回の魔物氾濫と思われる事態を対処するため伯爵に全権委任された者である。原因を解決したと聞いたが本当か」
「銀級冒険者のハリーと申します。パーティーリーダーをしております。原因であると確定できているわけではありませんが、おそらくは、と推測されると愚考しております」
と、山にあった2つのダンジョンの結合、片方からオークが次々でていたこと、もう1つのダンジョンも元々はオーク系統のみで無かったのにそうなっていたこと、2つのダンジョンを踏破した後はオークの新規出現が無くなったこと等の推定根拠を説明する。
さらに
「ダンジョン踏破やボスの討伐証明はあるのか」
と言われ、ダンジョンコア2つと、ハイオークキングの魔石、王冠を目の前に並べる。
明らかに通常の魔物の魔石より大きいものが3つと、荘厳な王冠を見ると、今回の原因の証跡では無くてもダンジョン踏破とAランク魔物の討伐の証跡になることは認められた。
急使はギルド長に鑑定師を呼ばせてその場で鑑定して実物であることと、王冠の機能を確認した上で、
「これらの品々は預かり証を書くので、預からせて貰う。また、討伐隊ではなく調査隊に切り替えて周辺確認をするので、しばらくこの街に留まるように」
と一方的に通知される。
急使は調査隊を編成してダンジョンを確認させるだけでなく、伯爵に指示を仰ぐ飛脚を飛ばす。
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