第241話 貴族馬車

騎士爵ゴーチャン・ルメジョンも、平民の4人と同じ馬車に乗ることはしないため、騎士爵、サラたち4人、従者・荷物の3台の馬車と、騎士見習いなのか何頭かの騎乗した兵士で王都に向かうことになった。


「何でこういうことになったんだろうなぁ」

「一応ご褒美を貰えるのだと思うけど」

「こっちの都合を考えずに押し付けで?」

「ま、そういうのが貴族なんだろうけど」

「この高級な馬車、多分伯爵家のだろうけど、この乗り心地を楽しむしか無いよね」

「ダンジョンコアとハイオークキングの魔石を悪魔ストラデルが欲しがるのだけど、しばらくは無理よと抑えるのが大変。Bランクの魔石に魔力補充をして貰えない?」

「俺は従魔ガンにも魔力をあげるから、その残りでね」

というやり取りをするも、暇である。ひたすら魔石に魔力補充し、補充された魔力を魔剣ストラデルに吸わせたり、オークダンジョンで活躍した水精霊シルビーや回復魔法で貢献した天使マルカルロに捧げたりした。


王都まで魔の森に沿った道路のため、ときどき魔物が襲ってくるが、御付きの兵士たちで片付けられる程度であったし料理も従者がしてくれた。自分たちは今まで護衛依頼か乗合馬車で馬車に乗っていたので、することがなくて暇な数週間であった。


食事の時などにゴーチャンとも会話すると、与えられた立場でかたいやり取りになっていたが、従魔のロック鳥にも撫でて肉を与えてくれるなど、中身は普通に親しめそうな人であると思ったハリーであった。



だんだんゴーチャンとも会話できるようになり、王都ワーズについて事前に教えて貰う。

今も続いている魔の森の南側に王都がある。王都から見て北になる魔の森のかなり東の方にゲレの街がある。王都から見て北西に王都ダンジョンの丘がある。

北から順に、ダンジョンの丘/魔の森、平原、騎士団練習場、魔術学校/騎士団宿舎、貴族学校/騎士学校、王城になっている。王都の囲いの外に騎士団練習場。

王城のすぐ周りは貴族街が西・南・東と覆い、その周りを同心円状で、裕福な住民宅と神殿が入り交じり、その周りを一般街に。一般街でもダンジョンに近い西側に冒険者ギルドなど荒くれが集まりやすい場所とのことであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る