第226話 帰省

カーヤが興味のある侯爵領都での鍛冶屋や武器屋を見てまわった後は、また護衛依頼を受ける。

侯爵領都サノワールからハリーたちの出身地の伯爵領都サイユに対しての商隊護衛では盗賊襲撃もなく無事に完了する。

もちろん、途中では往路と同じくロック鳥などの襲撃もあったが、難なく撃退した。ロック鳥の襲撃時には、従魔ロック鳥のガンが紛らわしくなると困るので戦闘に参加させず荷馬車の陰に居させたぐらいである。


長い旅の間に、サラはカーヤに魔法指導を行う。≪水生成≫が水筒の量ぐらいは出せるようになったので、≪種火≫に挑戦すると意外と早めに習得できた。残念ながらハリーは≪種火≫ができないままであったが、リリーも≪種火≫を習得できた。


約1年ぶりの帰省であり、ハリーたちの両親も、サラの師匠エミリーも驚いていた。

ただ、エミリーは相変わらず冒険者ギルドから様子を教えて貰うようにはしていたのと、ワチエから侯爵領都で遠回りした分の差だけ早めに情報を入手していたが、知らないふりを3人ともしたのである。まだまだ保護者の方が1枚上手ということである。


荷ほどきをしたその晩、ハリーたちの両親の宿の食堂にエミリーたち師弟も集まり、カーヤの歓迎会も含めた食事会にした。

事前に認識はしていたがやはりドワーフの女の子を連れて来たのに驚いている両親たち。ただカーヤの性格が良いのもあり直ぐに打ち解ける。カーヤはダンジョン都市ワチエを出たことが無かったので、この旅も色々な経験になった旨を話し、もともと鉄級冒険者であったのが銀級に成った旨を話す。

ハリーの実家に泊まる冒険者でも銀級以上はそんなにいないので、子供たちが急激にそこまで成長したことに両親も驚き戸惑っている。

エミリーは、サラの火傷痕が消えて早い段階で旅に送り出したので、今のように人とある程度自然に話せるようになっている姿を見ることができたことを密かに喜んでいた。


カーヤはそのままハリーたちの宿に泊まり、サラはエミリーの店舗兼住宅に戻る。

翌日、ハリーとリリーは冒険者ギルドの先輩たちに挨拶に行くのにカーヤも連れて行く。その後、鍛冶屋や武器屋を見せてまわる。

やはりダンジョン都市ワチエや伯爵領都サノワールに比べると、品揃えは良くない。また高級品も少ないが、カーヤは違う都市の店舗を見るだけでも経験になる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る