第224話 一時帰郷
ハリーとリリーの兄妹の故郷でもある伯爵領都サイユを出て約1年近くになろうとしている。以前の、魔の森近くのゲレの街のときは3ヶ月ごとに戻るように約束していた。さすがにワチエの街は遠いのでそこまで頻繁である必要はないが、そろそろいったん戻る必要があると思われる。
カーヤ以外の3人は、カーヤが鉄級冒険者のままであるのを昇格させるには盗賊退治などが必要であることも認識しており、街から連れ出してあげた方が良いと思っていることもある。幸い、カーヤも視野を広げるための旅は望んでいるようである。
問題になると思われたカーヤの両親であったが、寂しくはなるがいずれ独立を考える娘の成長のためとして、送り出してくれることになった。
「サイユは俺たちの生まれ故郷で、両親が宿を営んでいるんだよ」
「私の師匠がそこで魔法回復薬などのお店を出しているの。母の死後にお世話になっていたの」
「領都だけど、このダンジョン都市ワチエほどの賑わいでは無いからガッカリしないでね」
とカーヤに街の紹介をする。
カーヤの両親はカーヤに対する餞別として、魔法の背負袋はあげる、とし、いくばくかの金貨分の手形を振り出した物を貰う。
鍛冶の師事も含めてお世話になったハリーたち3人はお礼を言うが、逆にカーヤの育成のお礼を言われるのとこれからもよろしくとお願いされた。
冒険者ギルドで伯爵領都サイユに向かう旨を伝えて護衛依頼を探していると、やはり侯爵領都までの護衛依頼とそこから伯爵領都までの護衛依頼のつなぎ合わせを勧められた。また、カーヤの昇格に関して、銀級と同等の討伐実績がある旨の証を、カーヤの身分証明書の裏に書き足してくれた。
サラは神殿で暇(いとま)の旨をお祈りすると、護符を握りながら祈ればこの神殿でなくても良いと天使マルカルロから返事があった。奉納は貨幣が無理になるので魔石で、とますます魔石の消費を要求されることになったので、神殿を見かけたら貨幣で奉納することを心掛けることにするのと、今日もワチエの最後であるというので多めに奉納しておく。
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