第220話 31階考察

そろそろサイユの街に帰ることにするつもりのハリーたち。ただ、もう少し宝物も欲しいから先に進めたい。しばらくは日帰りでマンティコア狩りと決めたが、先に進むために何が不足しているのか考える。


例えばこの階層を簡単に踏破できるAランク金級冒険者との違いは何であろうか。そもそもで経験が圧倒的に不足していることは除く。一番は殲滅力と考えたとき、例えばサラならば王級魔法を覚える、同時発動数を増やす、ハリーたちならばもっと攻撃力のある武器に変える、王級武技を覚えるになる。

短絡的には、仲間を増やすのも解であろう。


王級は超一流のみが使えるから王級なわけで、上級以下をもっと熟練することも必要で時間がかかるのは明確である。仲間を増やすにも、サラの特殊性を踏まえたときに気軽には増やせないので、従魔や召喚など使役するものを増やすべきだが、従魔はロック鳥の卵のように自ら入手しないと非常に高価であり、召喚はもっと難しい。

先日は実施しなかった≪炎付与≫で武器の変更相当のことだけはできるのと、同時発動数を増やす訓練は今からでもできるので、まずはそこから始めることにする。


サラは上記を踏まえて、付与魔法をこれから行うことを提案しつつ、一番得意な水精霊魔法の初級≪水生成≫を同時に3つ発動する練習を始める。



早速翌日の探索のときから、敵発見時には早々に≪炎付与≫をしながら戦ってみると、戦闘時間が明らかに短くなったことを実感できた。3つの同時発動はそこまで上手くは行かず苦戦する。


10日ほど日帰りでのマンティコア狩りをするなかで、水精霊召喚以外に≪炎付与≫も行って遭遇する3~5匹を殲滅することを繰り返すと、ロック鳥ガンも敵の攻撃の回避を覚えてきて、かなり戦闘が安定して来て≪回復≫魔法の回数も減らすことが出来てきた。

最後の巣を殲滅するほどの力はついていないが、10日以上野営しながら32階へ進むぐらいはできるのではないかと自信が持てるようになった。


ちなみに、10日ほどの探索の中で岩場から見つけた宝箱は2つ、片方は空、もう片方は魔力向上の腕輪であり、さすがBランク級の階層と喜んだ。

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