第212話 牙虎
翌朝、神殿とカーヤの実家に寄ってからダンジョン探索を再開する。今度は25階、草原エリアであり、牙虎サーベルタイガーが出現するとのことである。ここの地図も、最初の部屋から26階への階段までの簡易な物のみが販売されていたので、次のダンジョン改変までの最後の階層と思って探索する。
カーヤ以外は過去に倒したことがある牙虎でありその意味ではあまり不安は無いが、直線でも4日以上かかる行程である。
宝箱は、草原ながら所々にある岩場の影が多いのと、方角を迷わないようにするため、岩場を目印に進む。
他の階層と同様に牙虎は3~5匹で出現したが、リリーの≪必中≫と≪遠射≫の組合せとサラの≪氷槍≫の同時発動により近づいてくる前にだいたい1匹ぐらいは減らせている。更に近づいてくるとハリーの≪飛斬≫と、カーヤのリターンしながらの鉄球≪連投≫の射程距離にも入るためもう1匹ぐらいは減らすか瀕死にでき、完全に接近戦になったときには数的にも優位になっている。
これは気配察知や風魔法で遠くから先に発見できているからでもある。
5日目の昼休憩のとき、食後にロック鳥の卵に魔力を与えているとヒビが入りだした。
「生まれるかも!?」
「えー、柔らかい布とか要るのかな?」
「ハリー以外は顔を見られないように早く背中を向けないと」
と話をしているうちにヒビが割れてハリーの上半身ほどの白い雛鳥が出てきた。雛鳥ではあるが目が見えるようで、最初に顔を見たからかずっと魔力を与えていたからか、ハリーに甘える。1~2時間ほど、皆で魔力を与えながら小さめの牙虎の肉を与えていると、弱々しくであるが自分で飛び始めた。
「おー、魔物だから早いのかな?」
「たくさんの魔力のお陰かな?」
と答えは分からないが、頼もしい仲間が増えた。
「お前の名前はガンな」
とハリーの感性は不明だが、名前も決まった。
だんだんと上空の方へも飛べるようになり、敵を見つけるとハリーに教えてくれるようになった。子供だからか、夜はずっと寝るようである。
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