第203話 改変前日

ダンジョン改変の前日、無理にダンジョンには行かずに自由行動に充てたが、結局それぞれ訓練などをしていた。皆、貴族パーティーへ武技などを指導していたことで、自身の復習にもなり習熟度が上がっていたので、その上を目指す意欲が出ていたのである。いまだにサラたちとの差に焦りを感じているハリーは特に、である。


そのハリーは、上級武技を習得しに冒険者ギルドに行く。片手剣の≪飛斬≫である。これは込めた魔力を飛ばすものであり、今までの武技に比べて難易度が急にあがる。実戦で訓練できるように触りだけはギルドで習熟しておく。


リリーは、弓に関しては風魔法の≪必中≫を覚えたので、次は槍の上級武技≪飛斬≫に挑戦する。兄ハリーと同様に、実戦で訓練すればよいところまで習得しておく。


カーヤは両手斧≪剛撃≫≪受流≫を覚えたところであり、体術の≪回避≫の習得を目指す。


サラは水精霊シルビーに教わり、上級≪氷槍≫「glacies(グラキエス)-hasta(ハスタ)」の練習を開始する。エミリーが複数を同時発動していたイメージも、先日にシルビーが発動していたイメージもあるため、事象を無から想像する必要はなく、取っ掛かりはできている。



翌朝も日が昇る前からダンジョン入口に並ぶために早めに就寝することにしたので、人が集まり屋台がたくさん出ているが、簡単な買い食いぐらいにしていた。また今回も神殿には夜のうちに行き、今までの無事のお礼と明日からの無事のお祈りをしておく。

本当はたくさんの金貨も手に入ったため、買い漁りたい思いもあったが、屋台では生活雑貨が多くそれほど魅力的な物が無かったのもある。

未鑑定という魔道具も並んでいてサラは気にはなったが、壊れているかはたまた呪われているかも確認できないため、掘り出し物の獲得に挑戦することは諦めた。魔剣ストラデルに念話で聞いても

『呪詛の全てを知るわけではないし、その分野に長けているわけでもない。中級の≪解呪≫を習熟すれば、どのような結果になっても安全になるぞ』

という残念な回答であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る