第191話 20階ボス部屋前

それから5日の探索で、いくつかの隠し部屋を見つけるも空もしくは空の宝箱ばかりであった。

そうこうしているうちに、ゾンビの遭遇回数が頻繁になる地区を見つけ、丁寧に周りを探索すると、19階ボス部屋と同じような大きな扉を発見した。

宝物の運は無くても、19階より早く見つけられたのは幸運と思うことにした。


まだ昼前であったので、ゆっくりと昼食を取ってからボス部屋に挑戦することにした。


ハリーはサラとリリーと事前協議していた内容をもとに、セドリックに相談をする。

「ボス部屋も、私たち4人とフェルール様だけで挑戦した方が良いでしょうか」

セドリックは驚きつつも、フェルール様の経験のためにはその方が良いと思い

「できるのか?それであれば任せたいが」

「その場合、ここで見聞きしたことは口外しないとお約束頂けますか」

「何たる無礼な!」

とジルベールが割り込んでくるが、セドリックはそれを抑えて言う。

「約束しよう」


サラたちはカーヤにも見せていなかった水精霊シルビーを召喚するところまでを許容範囲と相談していた。死霊魔法を使うためのホブゴブリン2体分の骸骨は魔法の袋にはしまっているが、不要なトラブル回避のためにこれは万が一の場合のみにする。


サラは、もしゾンビにかまれた時のための病気治癒の回復薬と傷回復薬を含めた高級魔法回復薬を配り、ハリーとカーヤのショートソードとバトルアックスに≪炎付与≫を行う。

また、それぞれ武技の≪肉体強化≫を発動して大扉を開ける準備をしてから、サラは≪召喚≫で水精霊シルビーを呼び出す。

「今日は知らない人がたくさんいるわね」

「この後を手伝って欲しくて。よろしくね」

カーヤを含めた5人が驚いた顔をするのは無視して

「それでは行きます」

とハリーが扉を開ける。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る