第192話 20階ボス

20階ボス部屋の中にいたのは、巨大なゾンビとそれを取り巻くように20匹ほどのゾンビであった。


「まずは取り巻きから」

というハリーの掛け声のもと、地形的優位性を保つために大扉付近という狭い場所を確保したまま、遠隔攻撃を開始する。

フェルールは唯一の攻撃魔法である≪火球≫、リリーはリターンで回収できる矢を使いつつ≪必中≫で顔を狙った≪穿孔≫と≪連射≫、サラは≪氷刃≫の同時発動、水精霊シルビーも≪氷刃≫の同時発動、ハリーはリターンで回収できる短剣投擲の≪穿孔≫である。


距離のある間にこれらの遠隔攻撃で数体を倒した後の接近戦では、ハリーの盾武技の≪挑発≫で敵を寄せつつ片手剣≪剛撃≫≪連撃≫や盾≪受流≫≪盾叩≫、カーヤはようやく出番とばかりに≪斬撃≫を繰り返す。フェルールやサラたちは前衛2人の邪魔にならないように、その奥のゾンビを中心に遠隔攻撃を継続する。


さらに10匹ほど倒した後には巨大ゾンビも扉近くまで来たが、狭い場所のため自身の巨大な体が他のゾンビを邪魔することになるためか、結局は通常ゾンビを前面に出して後ろで待ちぼうけになっている。

残り5匹ほどの通常ゾンビも継続して倒しきると、ようやく最後に残った巨大ゾンビが前面にくる。

それでもハリーたちのすることは変わらず、それぞれの役割分担を淡々とこなすことで巨大ゾンビも含めて殲滅することができた。


念のために傷を受けた前衛2人、ハリーとカーヤにはサラが≪治癒≫と病治癒の魔法回復薬を飲ませて、ゾンビから魔石を回収してから休憩する。一息ついた後はボス部屋の奥に行き、下りの階段と宝箱を見つける。

「もちろん、宝箱の中身は貰ってもらって良い」

というセドリックの言葉を受けて、宝箱の中身をみると、見覚えのあるツルハシであった。サラが魔法陣を確認しても同じものに見える。


微妙な空気な4人をよそに、貴族パーティー4人は「では」と先に階段を下りて光る床から出口に向かう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る