第181話 再遭遇

19階のボス部屋と思われる部屋の前で夕食中に部屋に入って来たのは、例の貴族パーティーであった。


「またお前たちか」

と言うジルベール、一番後ろで何も言わない令嬢を守るような位置取りをする20歳ほどの金属鎧、地図を片手に持っていたもう一人の若い金属鎧。


本来、冒険者は経歴を問わないものであり、ダンジョン内などで身分について他パーティーに強制するものではない。ただ、要らぬトラブルを避けるため、サラたち4人は食事を中断して立ち上がり、頭を下げる。


この一番年上にみえる金属鎧が話しかけてくるので、ハリーが答える。

「気を使わなくて良い。それより教えて欲しい。その大きい扉はボス部屋なのか、開けたのか」

「はい、ボス部屋と推測しておりますが開けておりません。野営をして翌朝に開けるつもりでした」

「では、私たちが先に入っても良いか」

「もちろんです。どうぞ」


貴族パーティーが大きな扉の向こうに消えてから、ようやく腰を下ろして息を吐く4人。

「ボス部屋の宝はもったいないけど、しかたないよな」

と言うハリーに残り3人は同意をし、リーダーとしての対応にリリーも含めて3人とも慰労する。

夕食の続きを食べ終わったころに、大きな扉が開く。


身構える4人の前で、貴族パーティーが走り出してくる。後ろにはゾンビの大群以外にゴーストも数体が見える。

「加勢します」

というハリーに合わせて、リリーたちも慌てて武器を手に取り、ハリーとカーヤが前衛、リリーとサラが後衛の2人2列で大きな扉の位置に立ち、遠隔攻撃を開始する。

「すまない」

と貴族令嬢を抱えて走っていた年長金属鎧が言う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る