第172話 横取り

翌朝、神殿の後に魔道具屋から指輪を受け取り、カーヤの実家でカーヤと合流しつつ手入れ後の武具を受け取り、ダンジョン14階の捜索を再開する。


リリーは確認できた魔法の矢を早速使用してみるが、最初は全体が金属の矢に違和感があった。段々慣れてきて、しかもリターンで手元に戻ってくることから、残数を気にして使用をためらうことも戦闘後に回収することも無くなり非常に効率的になった。


カーヤは鉄鉱石を採掘するときに≪肉体強化≫をすると効率が上がることに気付き、戦闘時以外でも≪肉体強化≫を続けることで訓練しようとするが、戦闘時の魔力が不足するどころかそれほど長く続けるだけの魔力が無いことに気付く。そのため地道に夜の魔石に対する魔力注入訓練を頑張ることにする。


ホブゴブリンとオークを討伐し、鉄鉱石を採掘し続けて3日ほど経ったとき、折れた矢が背中に刺さったままの1匹を含むホブゴブリン3匹に遭遇する。気配を含めてまわりを確認しても他の冒険者も居ないのと、ホブゴブリンがこちらに気付き襲って来たため、応戦する。すると撃退途中に冒険者が近寄ってきて様子を見ているのに気付いたが、そのままホブゴブリンを倒しきることにした。


倒しきったとたんに、陰に隠れていた冒険者4人が出てきて

「横取りしやがったな、お前たち」

と言ってくる。

「何のことだ?周りに誰も居なかったし、襲われたので応戦しただけだ」

とハリーが言うと、弓士の一人が矢を出してきて

「これと同じ矢が刺さっていたはずだ」

というので、確認するとホブゴブリンに刺さったままであった折れた矢が同型であった。

「で、どうしたら良いと言うの?」

というリリーに対して

「そうだなぁ、もちろんこの3匹の死体は貰うし、慰謝料として金貨1枚貰おうか」

と言ってくる。

「ふざけるんじゃないわよ」

と言うカーヤに

「冒険者ギルドにお前たちのことを告げて、処分して貰うからな」

と脅してくる。

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