第171話 魔道具屋

さらに2日ほど14階の探索を続けたあたりで、だいたい14階の最初の部屋に近づいたので、光る床からいったん街に戻ることにした。


魔物素材などの売却をした後は早々に魔道具屋に向かう。入手した魔法の矢の鑑定と、カーヤの魔法発動体の購入のためである。

まず魔法の矢は想定通り、頑丈と帰還リターンの付与がされたもので、呪い等の余計なものは無いことが確認できた。


続いてはカーヤの魔法発動体として杖か何か、と店主に問うとドワーフの魔法使いは珍しいのか驚かれたが、相談に乗ってくれた。日ごろ手にする武器の両手斧やツルハシの発動体はまず存在しないし、それなりにみかける魔導書もかさばる。やはり杖か指輪が良いであろう、と。

横で聞いていたリリーは、いつかは弓矢の矢に風魔法を使いたい自分としては、いつまでも杖ではなく指輪にすべきと気づき、指輪の発動体を見てまわるが、ずっとつけるには、と気に入ったデザインの物が見つからない。

カーヤもリリーに借りた、元はサラが使用していた杖以上の物を見つけられない。

店主は自身が魔道具作成の錬金術師であるので、指輪ならば金属製ならばだいたいのものは発動体にできるから、気に入った物を持っておいでと言ってくれた。


となると次の行先はカーヤの母親の細工品の店になる。父親の鍛冶屋と共同の店舗である。急いで皆で向かい、カーヤが「ただいま」より先に魔法使いになった旨を両親に説明し、両親からは驚きつつ感謝され、そういうことならばとリリーに似合いそうな指輪を次々と見せてくれる。

リリーが気に入ったのは、先日の鉄のインゴットから作られたシンプルな百合の花の指輪であった。もともと値段も手ごろであり経緯も踏まえて無料でと言われ、成長期を踏まえて今は右手の親指、そのうち中指ぐらいになるであろうサイズの物をプレゼントされた。


リリーはお礼そうそう、その指輪を持って魔道具屋に戻り、これならばすぐに加工できるから翌朝おいでと言われて代金を支払っておく。

リリーが使っていた杖はカーヤに渡されている。


ハリーたちの武具の手入れもカーヤの父に頼み、ハリーは生鮮食品や調理量を買い出しに、サラは魔法回復薬のための薬草や薬瓶を調達に行くなど、久しぶりの街で思い思いの行動をする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る