第170話 魔法指導2

宝箱から魔法の矢が見つかった後、リリーは街まで戻って鑑定をするのを待ち切れないというので、簡単にテストをした。遠くに置いた矢にリターンと唱えると3本ともリリーの手元に帰ってくるのを確認したのである。頑丈のテストで壊れたら元も子もないので、リリーにはこれで我慢して貰う。


その日の夜、カーヤが空の魔石に魔力を注入するのを見て、かなり魔力操作に慣れてきたように見えたため、カーヤにも水魔法の指導をしてみることにした。

「カーヤ、魔法を使えるようになりたい?」

「え?考えたことも無かった。1,000人に1人でしょ」

「リリーも俺も出来るようになったんだよ」

「ちょっと試してみない?リリー、杖を貸して」

と自分が元々使っていて今はリリーが使っている発動体の杖を借りる。また袋から水魔法の触媒を取り出す。

「≪斬撃≫のように体内の魔力をこの杖に集めて、さらにその先に出すようにして。その次に、その魔力を水属性に変えるのだけど私が手伝うからちょっと感じて。その上で今から私がする≪水生成≫のイメージを思い出して、水をつくれると思ってみて」

と、≪水生成≫を実演してから、≪水生成≫の魔術語「aqua(アクア)-generate(ジェネラテ)」も教える。


カーヤは杖を持ち、魔術語を意識しながら

≪水生成≫

と言って、杖、さらにはその先に魔力を集めることを意識する。それを見てサラは触媒を杖の先に差し出して、「水ができる様をイメージして」と声をかけるが、最初は失敗する。ただ、カーヤが「水属性へ属性変換されるのも感じた」と言うので繰り返し練習したところ、6回目で小指の4分の1ほどの水が生成された。その後は触媒もなく≪水生成≫をできるようになった。

「サラ、ありがとう!魔法を使えるなんて夢にも思っていなかった!」

と大喜びする。

「街に戻ったら、杖を手に入れようね」

と答えながら、やはり魔法が使えるのが1,000人に1人なのは知識の未展開が理由と確信したサラであった。

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