第168話 高級魔法回復薬2
サラは≪火炎≫もしくは≪氷刃≫の2重発動ができるようになったため、≪種火≫と≪そよ風≫の並列発動に挑戦すると、今までより感触がつかめたので繰り返し練習すると4回目で成功した。その勢いのまま火魔法と風魔法の複合魔法である≪乾燥≫「siccum(シークム)」を練習すると3度目の挑戦で成功する。
さらには≪水球≫と≪火球≫の同時発動も成功し、水魔法と火魔法の複合魔法である≪熱湯≫「Calida(カリダ)-aqua(アクア)」も成功する。
自信を持ったサラはいよいよ高級魔法回復薬の製作ができるようになったかと、期待する。
調合の手順は、洗浄、乾燥、粉砕、分離、溶解、励起であるが、基本的には不純物の混入を抑えることで品質向上が期待できる。
薬草の効用の低い部分をナイフで切り除いておき、≪簡易結界≫の中で薬草を≪洗浄≫する。さらに今回習得できた≪乾燥≫を行った上で、薬研(やげん)により粉砕して篩(ふるい)で分離する。それを≪水生成≫で生み出した純水に溶解し、回復を促す要素へ励起を行う。
師匠のエミリーは熟練であり溶解と励起のみ魔法を使用して高級レベルを作り出せるが、サラでは中級までであった。今回はそれ以外の工程でも魔法を使うようになったことにより品質向上は確実にできた。
それでも中級のままか高級にたどり着けたかはサラ自身では鑑定ができないため、店舗などで確認してもらう必要がある。既に夕方も遅かったので慌てて店舗に駆け込み確認を依頼すると高級であることを保証された。
師匠エミリーに比べて使用魔力が多くかかり非効率ではあるが、ようやく高級魔法回復薬が作成できるようになった。これで病治癒も、指欠損も回復できる魔法薬が作れる。
次に伯爵領都に帰ったときには師匠に褒めて貰いつつ、土魔法の≪粉砕≫と風魔法の≪風篩≫を教わることを楽しみにすることにした。それらも習熟して経験を積むと、師匠と同じ特級魔法回復薬の作成が見えてきて、臓器欠陥も回復できるようになるので夢も膨らむ。
冒険者ギルドでの武技訓練から帰ってきたハリーとリリーに、早速習得した≪熱湯≫で湯あみを提供しながら、いろいろと成功した旨を報告する。
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