第157話 蟻軍団

11階の終わりに、それまでとは違う巨蟻の塊、蟻軍団に遭遇することになったサラたち3人。


洞窟での大きな部屋であり扉があるわけではないため、囲まれないためにも通路まで引き返し、同時に当たる相手を減らす。さらに蟻には遠隔攻撃手段が無いため、ハリーの盾を含めて、ハリーとリリーの前衛が抑えている後ろからサラは魔法による遠隔攻撃を行う。

戦闘開始前に≪肉体強化≫や≪炎付与≫などの武技や魔法は適用していたうえで、サラは水精霊シルビーを≪召喚≫して≪氷刃≫で、敵の中段ほどの蟻を殲滅していく。サラ自身も≪氷刃≫の同時発動を行いつつ、魔力回復薬を惜しみなく使用する。


流石にDランクとはいえ10匹以上を同時に相手にすると疲労はあるが、何とか殲滅した後に残ったのはCランクと想定される親衛隊蟻のようなものが3匹となった。この3匹は他の蟻が倒されても通路にまで出てこずに、奥で待ち構えたままである。

敵の攻撃を一手に受けていたハリーに傷回復薬も使用しながら、付与などをかけなおし、≪肉体強化≫等の武技もあらためて発動して万全の体制に戻してから、3人は前進する。


少し離れた位置から、シルビー、サラの≪氷刃≫、リリーの≪連撃≫による一斉の遠隔攻撃で1匹を弱らせてから接近戦に持ち込む。継続して弱らせた1匹を先にしとめることで数的優位になり、最後まで優位を保ったまま戦闘終了を迎える。

「ふぅー。何とかなったな」

「骨格ばかりで毛皮で無いのが残念だわ」

「シルもありがとうね、助かったわ」

「こんなにこき使われたのは初めてよ。でも私のありがたみが分かったでしょ」

と座り込んで休憩しながら言葉を交わす。


蟻の骨格は丈夫であり鎧等に使用されることもあるが、かさばるため多くを持ち運べない。最後に倒した3匹を中心に魔法の袋も含めて持てるだけ持って、12階の最初の部屋の光る床から出口に向かう。

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