第155話 精霊召喚

二日ぶりに宿でのんびり夜を過ごすことになった3人。

サラはその夜に、水精霊魔法の召喚に挑戦する。水魔法、水精霊魔法の中級である≪氷刃≫も十分に習熟し、中級≪召喚≫に挑戦しても良いかと思えるぐらいになったからである。


召喚魔法は霊的な存在から力を借りる精霊魔法、神霊魔法、悪魔魔法のいずれにも存在する。基本的には異界から呼び出して実体化させるものであり、実体化しないで憑依だけの場合もあるが憑依は神霊魔法が主である。

召喚時の消費魔力以外にも召喚された存在を維持するのに魔力は必要であり、さらに同時に複数を実体化するには自身が召喚相手より圧倒的に上位である必要がある。

実体化した存在はあくまでも本体ではなく現身(うつしみ)であり、死亡するほどの攻撃量を受けた場合に維持できなくなるが、しばらくすると再度の召喚も可能になる。


サラは水精霊シルビーに貰った魔導書の≪召喚≫evoke(エボケ)の欄を再確認して

≪召喚≫

を発動する。既に伯爵領都の近くの洞窟でシルビーの実体化した姿を見ており、イメージはあるので、魔力を自身の体から出した後にその姿を思い出しながら実体化を意識する。

一度目は一瞬ぼんやり姿っぽいのが現れただけであったが、二度目にはシルビーの実体化に成功する。


横で見ていたハリーたちからの

「すごいな、精霊の召喚なんて」

「本当にできちゃうのね」

との声と、

「やっとできたね、サラ。待っていたわ」

とシルビーが話かけてくる。

「待たせたわね、シルビー。ところで、召喚したあなたは何ができるの?」

「今のサラの召喚の力では、中級の魔法までなら複数できるけど、上級だと一回放つだけで姿を維持できなくて帰ることになるわ」

「それって、呼ぶ必要あるの?」

「ハリーは馬鹿ね。サラとシルの2人が同時に中級を放てるのよ」

「そうか」

寂しかったのか、サラの魔力が切れるまでシルは雑談をしてから帰って行った。

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