第143話 初心者狩り
地下3階の最初の部屋の扉を開けて草原に出ようとしたところで異変に気付いた3人。
事前に注意を受けていた初心者狩りの盗賊と推測し、扉を開けた途端に走り出し意表をついてから振り返る。案の定、扉の両側から剣を振りかぶっていた2人と、少し離れて弓を構えていた2人、他にも剣士が4人の合計8人があっけにとられていた。
「なんだお前ら、急に飛び出して」
「かまうな、大人しく死ねー」
等と口々に叫ぶ。
人数に驚きつつも、
「こんな入口近くの階層でセコイことやっている奴らに負けるか!」
というハリーの言葉通り、敵の動きは上級者のそれではない。
サラは昨日に訓練した≪睡眠≫を弓士2人に続けて、後ろに構える剣士4人に順次かけていく。その間に、扉の両側にいた剣士2人はリリーの矢とハリーの剣で動きを止める。剣士4人のうち眠っていない2人にも、早々にサラの≪火炎≫とリリーの矢、ハリーの剣で無力化する。
以前の盗賊退治の際に覚えた、革ひもで後ろ手に親指を縛ることで8人を拘束する。前回、死亡させるより生存の方が高く買い取られることも覚えたサラは、重傷者には≪治癒≫をしておきながら、残り2人は全員の武装解除を行い、武器を魔法の袋にしまっておく。
尋問をするのも素人の自分たちでは面倒であるので、衛兵を呼ぶことにする。目が覚めたらすぐに≪睡眠≫をかけるためにサラは残り、上手く説明できるであろうリリーが衛兵を呼びに行くことにする。ハリーは万が一のために残って、初心者狩りの見張りをすることにする。
ちょうど出入口の近くであり、リリーが呼びに行くのも衛兵が駆け付けるのもそれほどの時間はかからなかった。衛兵は8人を安全に連れ出すのに一度は無理なため、盗賊1人に衛兵2人が両腕を捕まえる形で順次連れ出すことになった。最後まで連れ出した後、一緒に来てくれるな、と言われて衛兵の詰め所に3人も行くことになった。
リリーが最初に説明していたため、念押し確認があった程度のあと、街中にあるねぐらへの捜索は衛兵の方でする、もし何か収穫があったときの追加報酬も含めて冒険者ギルド窓口で夕方以降に支払うと言われ解放された。
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