第133話 ロック鳥

商隊護衛もしばらくは問題なく進んでいくが、そろそろ伯爵領から侯爵領にかわる境界の山脈あたりになると、のどかな雰囲気ではなくなってくる。

何度も経験している商人から、その辺りが一番、魔物や盗賊の襲撃を受けやすい場所と聞いている先入観もあるからかもしれない。

ただ、警戒することに越したことはなく、先頭馬車のリリーとサラはいつも以上に警戒を強める。


するとサラが上空に巨大な白い鳥を3羽発見する。おそらくCランクのロック鳥であろう。すぐに後続の馬車たちにも注意喚起をし、冒険者は商人の近くに集まる。


上空を攻撃するには、サラの魔法かリリー達の弓矢しかなく、ハリーの短剣投擲は心もとない。

ロック鳥は馬車に固定されて逃げられない馬を狙って急降下する気配であり、馬車3台、特に前方側にいる馬をできるだけ近づけて守りやすくする。それと並行して、サラは≪氷刃≫を連発して攻撃し、リリーたち弓士は武技≪穿孔≫≪連射≫を使用する。

馬に近づいてきた際には、剣士たちも上空に向かって剣を振り回してロック鳥を追い払う。


3羽のうち1羽を集中攻撃するよりも近づいたものから攻撃する形になり、最初の1羽をしとめるのには時間がかかったが、その後に続けて残り2羽もしとめることができた。

空を飛ぶことで面倒ではあったが、Cランク魔物が3羽程度であり、結果として誰も傷を負うことなく戦闘が終了となった。


サラは魔剣を用いて魔石の取り出しを含めた解体を行い、吸血も兼ねるようにした。

羽根も矢の素材として有用であり、肉も夕食にするため、解体した後も捨てていく部分はほとんどなかった。


「これだけ大きかったら、乗って空を飛べたんだろうなぁ。テイマーになれたら良かったのになぁ」

と呑気なことを言うハリーであった。


伯爵領から侯爵領への境界の山脈は、ロック鳥の生息地であるのか、その後も2回ほど襲撃を受けるが、被害はなく撃退することができた。

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