第132話 先輩女性冒険者
サラ達3人は保護者達に、侯爵領にあるダンジョン都市で強くなることを目指す旨を説明し、当分戻って来られないことの了承をとる。
そして出発の日、1年近く前にゲレの街に向けて初めて出発した時のように、保護者達に見送られる。前のようにハリーたちは手形、サラは魔法回復薬をそれぞれ前より多めに餞別に貰った。
この伯爵領の領都サイユから目的の侯爵領の領都サノワールへ向かう商隊護衛に参加して出発する。
領をまたぐ商売であり単価が高い物を運ぶということから、荷馬車の数は2台、商人用が1台と少ないが、護衛はサラ達3人以外にも3人のパーティーで合計6人であった。
もう1パーティーは、両手剣、片手剣+盾、弓の銅級冒険者で20歳ぐらいの男2人女1人であった。
ハリーが持ち前の人当たりの良さを活かして、商人や別冒険者たちとも積極的に交流し、野営時には料理で喜ばれつつ、相変わらず御者の練習をさせて貰って訓練をする。
サラは、火傷痕も消えて髪をあげるようにはなり、以前よりは他人と話すようになったものの、フードを深くかぶることは止められず、夜の休憩時なども薬草採取や水筒への水補給などを黙々と行っていた。
別パーティーに女性が居たこともあり、宿ではサラ・リリーと同室になったことから、魔法の訓練もあまり問題にならない範囲のことしかできなかった。ただ、その女性とリリーが話すなかにサラも混じることになり、女性冒険者が受ける扱い、あしらい方や注意点などを先輩女性冒険者から色々と教わることができた。師匠のエミリーも美人の女性冒険者ではあったが、高位魔法使いであることが早々に知れ渡り一般の女性冒険者とはまた違った面が多かったため、今回の話はリリー達には参考になることが多かった。
甘えるように媚びると素材の高価売却、武具などの値引きも男性相手だと期待できるという話も多かったが、お酒を飲めるようになってからの上手い逃げ方などもあった。
この先輩弓士にはお礼として、サラ自作の中級の魔法回復薬を分けることになった。
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