第131話 次期滞在地

サラとハリーとリリーの3人は、サラの故郷から帰って来てからときどき集まり、今後の行先を話し合っている。実家の手伝いや冒険者委員会での訓練の合間に、である。


その中で、

「リリー、誕生日おめでとう!エミリーから」

と魔法の背負袋を渡す。

「何これ、すごい。中が広い」

「5倍の容量だって。ダンジョンで見つけたことにしなさいねって」

「矢がたくさん持ち運びできる!」

「うらやましい!俺には?」

「はい、これ」

「やったー!料理道具や調味料も増やせる!」

「って、誕生日プレゼントじゃないの?」

と、ハリーの誕生日のときにあったようなやり取りになる。

サラも、エミリーのお古を貰ったことを説明し、今後の冒険で持参する物の検討の前提変更を話し合う。


また行先の相談では、旅行で知見を広めるよりも、まずは強くなることを優先することになった。一番効率的に強くなれるのは、未踏破ダンジョンの周りにできた通称ダンジョン都市であると、先輩冒険者の話をもとに決めることにした。

攻略済なのは36階層までで、地下1~10階はEランク、地下11~20階がDランク、地下21~30階がCランク、地下31~40階がBランクと、階層ごとに主に出現する魔物のランクの中心ランクが決まっていて、1階層ごとが広大とのことである。

これは今の伯爵領ではなく別の侯爵領にある街である。

魔の森の近くのゲレのように、この伯爵領都の近くではないため、3ヶ月に一度戻るようなことはできない。それに合わせた準備をする必要がある。



サラの故郷で母の仇として入手した悪魔教団のメダルは、父レオンと村長に1つずつ残してきたが、残り3つはエミリー、サラとハリーで1つずつ分けてある。

エミリーはサラたちには内緒で、伝手を使い調査を進めることにした。

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