第120話 犯罪奴隷
山賊を撃退した後は特に問題もなく、目的地である街まで到着する。
すぐに衛兵に話をして、山賊の襲撃があり捕縛して連れてきた旨を報告する。もちろん、撃退時に山賊を死亡させても犯罪にはならないが、尋問して他の盗賊等の情報を得られる可能性があること、犯罪奴隷にできることなどから捕縛して提出する方が高報酬になる。
山賊を提出した後は、残った馬車や馬や荷等については商隊長に算定をして貰い、それと褒賞を含めて分配を行った。
回収した貨幣を除くと、武具や荷よりもやはり犯罪奴隷20人が高く、今回は5体満足で引き取らせたことと肉体的に頑丈な者たちであったため、ほぼ1人1金貨になった。犯罪奴隷の売却値は、半金貨(50銀貨)から1金貨(100銀貨)が通常相場である。
犯罪奴隷は死罪にしても良い犯罪者を奴隷にして、鉱山など生命の危険がある作業に従事させることができるため、高額になる。これに対して、借金奴隷は借金が返せなくなった場合に拘束するためのもので、返済までの期間限定の奴隷であり、性的なことや生命に危険があることは命令できない。他にも戦争奴隷という、戦争で捕虜になったが身代金が払われない場合になり、命令できる範囲は犯罪奴隷と借金奴隷の中間のものがある。
奴隷契約はいずれも特殊な契約魔法で拘束するものであり、奴隷商人という国家が限定した使用者のみ使用できる。魔石に魔法陣を刻んだものを胸に埋め込むが、死亡したり取り出したりしたときには魔法陣が消える仕組みで、技術流出を回避している。
普通の職人日当が数十銅貨~1銀貨であり、生命の危機があっても100銀貨である1金貨ということは、人の命の安さを考えさせられる額である。
結果、冒険者7人で分配する際、魔道具の槍をあげたことや貢献度を踏まえて、エミリーが5金貨、サラたちは1人当たり3金貨となった。
「すげー!大金じゃないか。これからは盗賊狩りでもするか」
「エミリーさんが居なかったら返り討ちされるけどね」
というハリーとリリーの会話を横に、保護者エミリーがサラに
「このお金どうするの?」
「いい魔道具や魔導書でも見つかるまでためておく」
というやり取りをしている。
次の商隊護衛か乗合馬車を見つける間、この街で武具や魔道具のお店を見てまわるも、欲しくなる魔道具等はこれでも買えない金額であり諦める3人であった。
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