第117話 山賊

領都から1つ目の街と複数の村を越えた後、山の中の街道を進んでいるときに、先頭のサラが異変に気付く。

山の狭隘(きょうあい)な道で曲がり角の先に、何かが待ち構えている気配がある。すぐに後ろの馬車たちに注意の旨を伝え、御者に速度を落とさせて戦闘準備を促す。


曲がった道の先に、一台の馬車が横向きに停止しているのが見え、先頭から順に停車する。こちらの6台の馬車列のうち後ろ4台はまだ曲がる前である。


すると道の両側、斜面の上から明らかに盗賊・山賊という風体の男たち20人ほどが現れる。曲がり角で両方が見えるところから

「ま、定番ながら。命が惜しければ大人しく言うことを聞けよ。武器を地面に落として、馬車から離れろ」

と叫ぶリーダーらしき男と、それぞれの武器、両手剣、片手剣、弓などを威嚇のために振り回す男たち。


曲がり角で分かれた商隊・護衛の面々は連携がとれないため、皆がいったんは馬車を降りる。サラたち前2台の商隊メンバは、武器は手放さず曲がり角に急いで戻る。

「そこの5人、武器を地面に置け」

と言われるが無視をして走る。

エミリーの顔が見えたとき、エミリーの

「今だ、やれ!」

の合図のもと、商隊護衛の冒険者たちは一斉に攻撃に入る。


曲がり角より後方、馬車4台から少し離れている山賊に対して弓矢やエミリーの≪氷槍≫で攻撃する。いくつもの≪氷槍≫が山賊たちを狙うことにより、強力な攻撃魔法を使える者は滅多にいないので、山賊たちは狼狽する。

曲がり角より先方、馬車2台を見ていた山賊には、リリーの弓矢やサラの≪氷刃≫で攻撃する。


冒険者たちからの魔法や弓矢がしばらく続き、山賊たちは思わぬ反撃にあい慌てふためく。その様子をみてエミリーが

「投降するなら、命までは取らない」

と、先程の山賊へ逆転の発言をする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る