第116話 護衛熟練者

領都からの最初の護衛依頼は6台の馬車で、間にいくつかの村を越えた、2つ目の街が目的地であった。

護衛依頼は、エミリーを暫定リーダーに変えたサラ達4人と、銀級リーダーと銅級2人の男3人との2パーティーで受領することになった。


6台の馬車の内訳として、荷馬車が5台、商人たちが乗る馬車が1台のため、先頭の荷馬車に護衛が2人、他は1人ずつという分散配置にした。

これは、もう一つのパーティーの構成が、剣士、弓士、槍士であり、次の意図からである。

6台の馬車を、襲撃時に商人を守るために荷・荷・荷・商人・荷・荷の順にする。

遠距離攻撃が可能な弓士2人を前と後ろ、魔法使い2人をその内側、剣士と槍士を商人の近くに、ということで、リリー・サラ、ハリー、剣士、槍士、エミリー、弓士の配置にする。

この案を冒険者代表としてエミリーが商隊長に説明、納得してもらう。


野営の夜は、気配察知ができるものを分散することも踏まえて、リリー・サラ、剣士・弓士・槍士、ハリー・エミリーの3班での交代とする。


領都を出てしばらくは治安も良いエリアであり、1つ目の街までは魔物も盗賊もなく無事に進む。村や街では宿を取り、エミリー・リリー・サラの3人は女性部屋として別部屋になった。

ハリーは相変わらず御者と仲良くなり、馬の世話を含めた御者修業に励む。休憩時にハリーが馬の世話をしている際に、サラはエミリーに薬草採取をあらためて指導される。

野営の際には、エミリーとサラは皆の水筒への水補給、ハリーは調理を手伝い喜ばれた。


道中の夜にはエミリーは3人の魔法指導をしながら、サラに借りた空間魔法の魔導書解読をしていた。もともと習得済みで調合にも使用する初級≪簡易結界≫の知見をもとに、中級≪拡張≫の習得を目指している。ただ、特に中級≪拡張≫や上級≪収納≫は戦争において非常に有益になり国家管理されうるため、リリー・サラなど身内以外が居ないときだけにしている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る